【宅建過去問】(平成01年問02)消滅時効
Aは、Bに対し金銭債権を有しているが、支払期日を過ぎてもBが支払いをしないので、消滅時効が完成する前に、Bに対して、支払いを求める訴えを提起した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
- AのBに対する勝訴判決が確定した場合、時効は新たに進行を開始し、その時効期間は10年となる。
- 訴えの提起前6月以内に、AがBに債務の履行の催告をしても、時効が更新されるのは、訴えを提起したときである。
- Aが訴えを取り下げた場合、Aの金銭債権は、Aがその取下げをした日から5年間権利を行使しないとき、消滅する。
- BがAに対する債権を有する場合において、その債権が既に時効により消滅しているときは、その時効完成前にAの金銭債権と相殺し得る状態にあったとしても、Bは、相殺することはできない。
正解:1
1 正しい
確定判決によって確定した権利については、消滅時効が更新されます(民法j147条2項)。ここから新たな時効がカウントされ、その期間は、判決の日から10年ということになります(同法169条1項)。
■参照項目&類似過去問
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判決で確定した権利の消滅時効(民法[06]3(2)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-09-4 | 訴えの提起後に裁判上の和解が成立した場合には、時効の更新の効力は生じない。 | × |
2 | 21-03-1 | 債権者が、債務者に対する賃料債権につき支払督促の申立てをし、さらに仮執行宣言を付した支払督促について督促異議の申立てがないときは、消滅時効は更新される。 | ◯ |
3 | 09‐04‐2 | 裁判上の和解が成立し1年後に支払うことになった場合、消滅時効期間は、和解成立から10年となる。 | × |
4 | 01‐02‐2 | 勝訴判決が確定した場合、時効は新たに進行を開始し、その時効期間は10年となる。 | ◯ |
2 誤り
催告をすれば、その時から6か月を経過するまで、消滅時効の完成が猶予されます(民法150条1項)。この時点で、時効が更新されるわけではありません。
催告の後、6か月以内に訴えを提起したので、消滅時効の完成は、再び猶予されます(民法147条1項1号)。さらに、Aが勝訴の判決を受ければ、その時点で、消滅時効が更新されます(同条2項)。
本肢は、「時効が更新されるのは、訴えを提起したとき」とする点が誤っています。時効が更新されるのは、判決確定時です。
■参照項目&類似過去問
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時効の完成猶予(民法[06]5(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
催告 | |||
1 | H21-03-3 | 債権者が、債務者に対する賃料債権につき内容証明郵便により支払を請求したときは、その請求により消滅時効は更新される。 | × |
2 | H01-02-2 | 訴えの提起前6月以内に、債権者が債務者に債務の履行の催告をしても、時効が更新されるのは、訴えを提起したときである。 | × |
協議を行う旨の合意 | |||
1 | H29-04-1 | 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から1年を経過した時までは、時効は完成しない。 | ◯ |
夫婦間の権利 | |||
1 | R02s-05-4 | 夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は、時効が完成しない。 | ◯ |
3 誤り
訴えを提起したAが勝訴判決を得ることができず、訴えを取り下げた場合、その時から6か月間は、時効の完成が猶予されます(民法147条1項柱書き)。
時効が更新されるわけではないので、猶予されている6か月間が過ぎてしまえば、訴えを提起する以前の状況に戻ります。
つまり、以下の期間を過ぎれば、消滅時効が完成し、Aの金銭債権は、消滅するわけです。
本肢は、「取下げをした日から5年間」とする点が誤りです。
■参照項目&類似過去問
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時効の完成猶予・更新:裁判上の請求(民法[06]5(2)③・(3)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-02-1 | 債務者A、B、Cの3名が、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して300万円の連帯債務を負った。DがAに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。 | ◯ |
2 | R02s-05-2 | 裁判上の請求をした場合、裁判が終了するまでの間は時効が完成しないが、当該請求を途中で取り下げて権利が確定することなく当該請求が終了した場合には、その終了した時から新たに時効の進行が始まる。 | × |
3 | R01-09-1 | 訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合には、特段の事情がない限り、時効の更新の効力は生じない。 | ◯ |
4 | R01-09-2 | 訴えの提起後に当該訴えの却下の判決が確定した場合には、時効の更新の効力は生じない。 | ◯ |
5 | R01-09-3 | 訴えの提起後に請求棄却の判決が確定した場合には、時効の更新の効力は生じない。 | ◯ |
6 | R01-09-4 | 訴えの提起後に裁判上の和解が成立した場合には、時効の更新の効力は生じない。 | × |
7 | 09-04-4 | AがBの不動産に抵当権を有している場合に、Cがこの不動産に対して強制執行の手続を行ったときは、Aがその手続に債権の届出をしただけで、Aの債権の時効は更新される | × |
8 | 07-03-2 | 債権者が債務者に対して訴訟により弁済を求めても、その訴えが却下された場合は、時効更新の効力は生じない。 | ◯ |
9 | 01-02-3 | 金銭債権の債権者Aが訴えを取り下げた場合、Aの金銭債権は、Aがその取下げをした日から10年間権利を行使しないとき、消滅する。 | × |
4 誤り
時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺適状になっていた場合、その債権者は、相殺をすることができます(民法508条)。
■参照項目&類似過去問
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時効消滅した債権を自働債権とする相殺(民法[21]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-09-4 | [Aは、平成30年10月1日、A所有の甲土地につき、Bとの間で、代金1,000万円、支払期日を同年12月1日とする売買契約を締結した。]BがAに対し同年9月30日に消滅時効の期限が到来する貸金債権を有していた場合には、Aが当該消滅時効を援用したとしても、Bは売買代金債務と当該貸金債権を対当額で相殺することができる。 | × |
2 | 17-04-3 | 時効完成前に相殺適状に達していた債権を自働債権として、時効消滅後に相殺することはできない。 | × |
3 | 16-08-3 | 時効完成前に相殺適状に達していた債権を自働債権として、時効消滅後に相殺することはできない。 | × |
4 | 07-08-1 | 時効完成前に相殺適状に達していた債権を自働債権として、時効消滅後に相殺することができる。 | ◯ |
5 | 01-02-4 | 債権が既に時効により消滅している場合、時効完成前に相殺適状にあったとしても、その債権を自働債権として、相殺することはできない。 | × |
令和6年 宅建解答速報・解説
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