【宅建過去問】(平成01年問11)相続
Xは、9,000万円の遺産を残して死亡した。Xには、配偶者YとYとの間の子Aがいる。XとYとの間には、Aのほかに子Bもいたが、BはX死亡の前に既に死亡しており、その子bが残されている。さらに、Xには、非嫡出子Cもいる。また、Aには子aがおり、AはX死亡後直ちに相続を放棄した。この場合の民法の規定に基づく法定相続分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- Yが6,000万円、Cが3,000万円の相続分を取得する。
- Yが4,500万円、bが4,500万円の相続分を取得する。
- Yが4,500万円、bが2,250万円、Cが2,250万円の相続分を取得する。
- Yが4,500万円、aが1,800万円、bが1,800万円、Cが900万円の相続分を取得する。
正解:3
まず、特殊な事情を抱えているA・a、B・bについて整理しておく。
- Aは、相続を放棄しているから、初めから相続人でなかったものとみなす(民法939条)。また、Aの子aが代襲相続することもない。
- Bは、Xより前に死亡しているから、その相続分は、Bの子bが代襲相続する(同法887条2項)。
続いて、法定相続人それぞれの法定相続分を計算する。
- 被相続人Xには、配偶者Yと2人の子(b・C)がいるから、これらの者が法定相続人である(民法887条1項、890条)。その相続分は、それぞれ、配偶者が1/2、2人の子が合わせて1/2である(民法900条1号)。
- 子の相続分を、2人の子は、それぞれ均等に相続する(民法900条4号)。つまり、それぞれ1/4ずつである。
以上より、各相続人の相続分は、Yが4,500万、bが2,250万、Cが2,250万である。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
相続の計算問題(民法[31]2&3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-09-1 | Aには死亡した夫Bとの間に子Cがおり、Dには離婚した前妻Eとの間に子F及び子Gがいる。Fの親権はEが有し、Gの親権はDが有している。AとDが婚姻した後にDが死亡した場合における法定相続分は、Aが2分の1、Fが4分の1、Gが4分の1である。 | ◯ |
2 | R02s-08-ア | 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。 | × |
3 | R02s-08-イ | 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、B及びCがそれぞれ3,000万円、Dが6,000万円である。 | ◯ |
4 | R02s-08-ウ | 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。 | ◯ |
5 | R02s-08-エ | 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、E及びFがそれぞれ3,000万円、Gが6,000万円である。 | × |
6 | 29-06-1 | (Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった。)①BがAの配偶者でCがAの子である場合と②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。 | × |
7 | 29-09-全 | 計算問題 | |
8 | 26-10-全 | 計算問題 | |
9 | 25-10-全 | 計算問題 | |
10 | 24-10-1 | 計算問題 | |
11 | 24-10-3 | 計算問題 | |
12 | 16-12-全 | 計算問題 | |
13 | 13-11-全 | 計算問題 | |
14 | 08-10-全 | 計算問題 | |
15 | 02-11-1 | (Aが死亡し、相続人として、妻Bと子C・D・Eがいる。)Cが相続を放棄した場合、DとEの相続分は増えるが、Bの相続分については変わらない。 | ◯ |
16 | 01-11-全 | 計算問題 |
令和6年 宅建解答速報・解説
毎年好評の「解答速報」。
最速の解答・解説を目指し、今年も実施
本試験終了直後から開始し、18時までには全問の正解番号をお知らせする予定です。
(家坂講師には、本試験会場からスマホでの正解発表を依頼済み10問分‼️)
最速の解答・解説を目指し、今年も実施
本試験終了直後から開始し、18時までには全問の正解番号をお知らせする予定です。
(家坂講師には、本試験会場からスマホでの正解発表を依頼済み10問分‼️)
いつもお世話になっております。
非嫡出子には、父親の認知がないと相続人にはなれないと理解してましたが問題文には認知があるかないか分からず、なぜ嫡出子と同じ分だけ相続できるのでしょうか?
タナカ様
ご質問ありがとうございます。
非嫡出子は認知がなければ相続権を得られないこと、おっしゃる通りです。
そして、この問題では、「認知の有無」に触れていないのですから、その意味では不備のある問題といえます。
それでは、他の過去問ではどうなっているか。
探してみても、「非嫡出子」を扱った問題が平成01年のこの問題しか存在せず、他にヒントがありません。
となると、「この問題について試験実施団体が『正解3』と発表したこと」が唯一の根拠ということになります。
今後の出題ではどうなるか。
平成01年当時と比べると、現在の本試験問題は丁寧にチェックされた上で出題されるようになっています。
今後出題される場合には、「Xの認知を受けた非嫡出子C」などと正確に出題されるのではないでしょうか。
ご丁寧な説明をありがとうございました。何か見落としいるのか確認でき、よかったです。ステップ2の学習を続けます。
ご返信ありがとうございます。
今回の件は問題文のほうの不備(?)で、タナカさんの見落としではありません。
安心して、勉強を続けてください。
迅速な回答ありがとうございます。
見てたものが古く、誤って覚えてました・・・
少しモヤモヤしてたのでスッキリしました。
感謝致します。
冷飯様
わざわざ御返信ありがとうございます。
宅建試験は法律を中心とする試験であり、法律にはどうしても「改正」がつきまといます。
最新の情報を確認されるよう、おすすめします。
本試験もまもなくです。最後まで頑張りましょう!
いつもお世話になっております。
質問ですが、
「非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の半分である」
が適用されてA(放棄)とBとCの相続分は0:2:1となって
Bは死亡しているのでbが代襲相続するとb:Cは2:1
ということにはならないのでしょうか?
冷飯様
講師の家坂です。
質問ありがとうございます。
本問は、平成元年度に出題されたものですが、現行の民法に合うよう、内容を修正しています。
かつて、嫡出子と嫡出でない子の相続分に関して、
「嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1」
とする規定が存在しました(民法旧900条条4号ただし書前半部分)。
しかし、この規定は、最高裁判所の決定により、違憲とされました(最大決平25.09.04)。
【最高裁のWebサイト】
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83520&hanreiKbn=02
この決定を受け、同年12月、民法が改正されています。
【法務省のWebサイト】
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html
したがって、現在では、嫡出子も嫡出でない子も、相続分は全く同じです。