【宅建過去問】(平成08年問08)売主の担保責任
AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが、AB間に担保責任に関する特約はなかった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
- この土地がCの所有であることをAが知って契約した場合でも、Bがこの土地をCから取得してAに移転できないときには、Aは、Bに対して契約を解除することができる。
- この土地の8割の部分はBの所有であるが、2割の部分がDの所有である場合で、BがD所有の部分を取得してAに移転できないことをAが知らずに契約したときに限り、Aは、Bに対して契約を解除することができる。
- この土地が抵当権の目的とされており、その実行の結果Eが競落したとき、Aは、Bに対して契約を解除することができる。
- この土地の8割が都市計画街路の区域内にあることが容易に分からない状況にあったため、Aがそのことを知らなかった場合は、このため契約の目的を達することができるか否かにかかわらず、Aは、Bに対して契約を解除することができる。
正解:2
1 正しい
他人物売買も契約として有効である。この契約により、売主Bは、第三者Cからこの土地の所有権を取得して買主Aに移転する義務を負う(民法561条)。
この土地の権利を買主に移転することができなければ、Aに対する債務不履行である。この場合、Aは、売買契約を解除することができる(同法542条)。
※売主に対して損害賠償を請求することも可能である(民法415条)。
※買主が、売主以外の第三者の所有物であることを知っていたかどうかによって、結論は、異ならない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した。 | |||
1 | 28-06-1 | Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、BはAに対して、損害賠償を請求することができる。 | ◯ |
2 | 28-06-2 | Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、Bは、本件契約を解除することができる。 | ◯ |
3 | 17-09-1 | 買主が、売主以外の第三者の所有物であることを知りつつ売買契約を締結し、売主が売却した当該目的物の所有権を取得して買主に移転することができない場合には、買主は売買契約を解除するととともに、損害賠償を請求することができる。 | ◯ |
4 | 16-10-2 | Aは、C所有の土地を自ら取得するとしてBに売却したが、Aの責に帰すべき事由によってCから所有権を取得できず、Bに所有権を移転できない場合、Bは、他人物売買であることを知っていたときであっても、Aに対して損害賠償を請求できる。 | ◯ |
5 | 08-08-1 | この土地がCの所有であることをBが知って契約した場合でも、Aがこの土地をCから取得してBに移転できないときには、Aは、Aに対して契約を解除することができる。 | ◯ |
6 | 05-08-3 | 甲土地のすべてがCの所有地で、AがBに移転することができなかった場合、Bは、善意悪意に関係なく、契約を解除することができる。 | ◯ |
7 | 03-11-2 | その土地の全部が他人のものであって、AがBに権利を移転することができないとき、買主の善意悪意に関係なく、契約を解除することができる。 | ◯ |
2 誤り
権利の一部が他人Dに属する場合、売主Bは、Dから土地の所有権を取得して買主Aに移転する義務を負う(民法561条)。
他人に属する一部の土地の権利を買主に移転することができない場合、つまり、移転した権利が契約の内容に適合しない場合にも、売主は、目的物の契約不適合のときと同様の担保責任を負う(同法565条)。担保責任の追及方法として、Aは、売買契約を解除することができる(同法542条)。
※買主が、売主以外の第三者の所有物であることを知っていたかどうかによって、結論は、異ならない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した。 | |||
1 | 16-10-3 | Bが購入した土地の一部を第三者Cが所有していた場合、Bがそのことを知っていたとしても、BはAに対して代金減額請求をすることができる。 | ◯ |
2 | 08-08-2 | 甲土地の8割の部分はAの所有であるが、2割の部分がCの所有である場合で、そのことをBが知って契約したときには、Bは、Aに対して契約を解除することができない。 | × |
3 | 05-08-2 | 甲土地のうち一部がCの所有地で、AがBに移転することができなかった場合、Bは、善意悪意に関係なく、代金の減額を請求することができる。 | ◯ |
4 | 03-11-1 | 甲土地の一部を第三者が所有していた場合、BがAに権利を移転できず、残りの部分だけでは買主が買うことができないとき、買主は、他人物であることに関する善意悪意に関係なく、契約を解除できる。 | ◯ |
3 正しい
抵当権が設定された不動産を購入し、その抵当権が実行されたことにより、買主Aが不動産の所有権を失った。これにより、売主BのAに対して不動産の所有権を移転する義務が債務不履行(履行不能)になったのである。
この場合、Aは、契約を解除することができる(民法542条)。
※損害賠償を請求することも可能である(民法415条)。
※買主が、抵当権の存在を知っていたかどうかによって、結論は、異ならない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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抵当権がある場合 | |||
[共通の設定] Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した。甲土地には、Cを抵当権者とする抵当権が設定され、その登記もされていた。 | |||
1 | 28-06-3 | Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い損害を受けたとしても、BはAに対して、損害賠償を請求することができない。 | × |
2 | 28-06-4 | Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失ったときは、Bは、本件契約を解除することができる。 | ◯ |
3 | 20-09-2 | 甲土地に設定されている抵当権が実行されてBが所有権を失った場合、Bが甲土地に抵当権が設定されていることを知っていたとしても、BはAB間の売買契約を解除することができる。 | ◯ |
4 | 17-09-3 | 買主が、抵当権が存在していることを知りつつ不動産の売買契約を締結し、当該抵当権の行使によって買主が所有権を失った場合には、買主は、売買契約の解除はできるが、売主に対して損害賠償請求はできない。 | × |
5 | 11-10-3 | AがCに設定していた契約の内容に適合しない抵当権の実行を免れるため、BがCに対しAの抵当債務を弁済した場合で、BがAB間の契約締結時に抵当権の存在を知っていたとき、Bは、Aに対し、損害の賠償請求はできないが、弁済額の償還請求はすることができる。 | × |
6 | 08-08-3 | この土地が抵当権の目的とされており、その実行の結果Dが競落したとき、Bは、Aに対して契約を解除することができる。 | ◯ |
7 | 04-06-3 | Bは、Cの抵当権が設定されていることを知らなかったときであっても、Cが抵当権を実行する前においては、Aに対し、売買契約を解除することができない。 | × |
8 | 02-06-1 | Aは、契約の際Cの抵当権のあることを知らなくても、その理由だけでは、AB間の売買契約を解除することはできない。 | ◯ |
9 | 01-04-4 | その土地に抵当権が設定されていて、買主がそのことを知らなかったときであっても、買主は、その事実を知ったとき、抵当権が行使された後でなければ、契約を解除することができない。 | × |
地上権がある場合 | |||
1 | 05-08-4 | 売買の目的物である土地に第三者が登記済みの地上権を有していて、買主が利用目的を達成することができなかった場合、善意悪意に関係なく、契約を解除することができる。 | ◯ |
4 正しい
買主が売主の担保責任を追及することができるのは、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に限られる(民法562条、563条)。そして、ここでいう「不適合」には、物理的な欠陥だけでなく法律上の制限も含まれる(最判昭41.04.14)。
Aは、この土地が「都市計画街路の区域内にあること」を「知らなかった」というのだから、Bの契約不適合責任を追及することができる。そして、その方法の一つとして、契約の解除が認められる(民法564条、541条)。契約を解除することができるのは、「売買契約を締結した目的を達することができないとき」に限られない。
※令和2年の民法改正により大きく変わった点である。注意しよう。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | 24-03-4 | 物の瑕疵とは、目的物が備えるべき性質、品質を備えていないことである旨は、民法の条文に規定されている。 | × |
2 | 16-10-4 | Bが敷地賃借権付建物をAから購入したところ、敷地の欠陥により擁壁に亀裂が生じて建物に危険が生じた場合、Bは敷地の欠陥を知らなかったとしても、Aに対し建物売主の瑕疵担保責任を追及することはできない。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約を締結した。甲建物には、品質に関して契約の内容に適合しない箇所(本件不適合)があった。 | |||
1 | R03-07-3 | Bが引渡しを受けた甲建物に契約の内容に適合しない欠陥があることが判明したときは、修理が可能か否かにかかわらず、BはAに対して、修理を請求することなく、本件契約の解除をすることができる。 | × |
2 | R01-03-2 | 建物の構造耐力上主要な部分の不適合については、契約の目的を達成することができない場合でなければ、Bは本件不適合を理由に売買契約を解除することができない。 | × |
3 | R01-03-3 | Bが本件不適合を理由にAに対して損害賠償請求をすることができるのは、本件不適合を理由に売買契約を解除することができない場合に限られる。 | × |
4 | 19-11-2 | Bが本件不適合を知った場合でも、その不適合により売買契約をした目的を達成することができないとまではいえないときは、Aはその不適合を担保すべき責任を負わない。 | × |
5 | 15-10-2 | Bが、本件不適合を知らないまま契約を締結した場合、この欠陥が存在するために契約を行った目的を達成することができるか否かにかかわらず、Bは、Aの担保責任を追及して契約の解除を行うことができる。 | ◯ |
6 | 14-09-2 | Bは、本件不適合がこの売買契約及び取引上の社会通念に照らして軽微である場合は、この売買契約を解除できないが、この欠陥により受けた損害につき、Aに対し賠償請求できる。 | ◯ |
7 | 14-09-4 | Bは、本件不適合が存在するために、この売買契約を締結した目的を達することができるか否かにかかわらず、この売買契約を解除できる。 | ◯ |
8 | 08-08-4 | 売買契約の目的物である土地の8割が都市計画街路の区域内にあることが容易に分からない状況にあったため、買主がそのことを知らなかった場合は、このため契約の目的を達することができるか否かにかかわらず、買主は、売主に対して契約を解除することができる。 | ◯ |
9 | 04-08-1 | 購入した建物の引渡し後に欠陥が発見された場合、その欠陥が軽微であり居住の用に支障がなくても、買主は、当該契約を解除することができる。 | × |
10 | 03-11-3 | 売買の目的物に物理的な欠陥があり、契約目的を達成できない場合、買主の善意悪意に関係なく、契約を解除することができる。 | × |
11 | 01-04-2 | 売買の目的物である土地に欠陥があって、買主がそのことを知らなかったときは、買主は、その事実を知ったとき、欠陥の程度に関係なく、契約を解除することができる。 | × |