【宅建過去問】(平成11年問33)8つの規制
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でない買主Bと締結した宅地の売買契約(代金4,000万円、手付金400万円)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 契約に「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付金400万円を放棄して、Aは1,000万円を償還して、契約を解除することができる」旨定めた場合、その定めは無効である。
- 契約に「Aが当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合を担保すべき責任を負う場合、Bは、損害賠償の請求をすることができるが、契約の解除ができるのは、BがAに相当の期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に履行がないときに限る」旨定めた場合、その定めは無効である。
- 契約に「Aは、宅地の引渡しの日から2年間、当該宅地の不具合を担保すべき責任を負うが、Bがその不具合を知っていた場合についてはその責任を負わない」旨定めた場合、その定めは有効である。
- 契約に「債務不履行による契約の解除に伴う損害賠償額の予定及び違約金の合計額を代金の額の3割とする」旨定めた場合、その定めは、当該合計額につき800万円を超える部分については、無効である。
正解:4
1 誤り
買主が売主に手付を交付した場合、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主(宅建業者)は手付の倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができます(宅建業法39条2項)。
本肢の特約は「売主から解除するときは手付金の2.5倍である1,000万円を償還」というものであり、以上のルールに反します。
しかし、禁止されているのは買主に不利な特約のみです(同条3項)。
本肢の特約は、買主に有利でこそあれ不利になることはないので有効です。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02-32-1 | 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結した。AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。 | ◯ |
2 | R01-37-2 | [宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約]Aが手付金を受領している場合、Bが契約の履行に着手する前であっても、Aは、契約を解除することについて正当な理由がなければ、手付金の倍額を償還して契約を解除することができない。 | × |
3 | 29-28-エ | 宅地建物取引業者Aは、自ら売主として新築マンションを分譲するに当たり、売買契約の締結に際して買主から手付を受領した。その後、当該契約の当事者の双方が契約の履行に着手する前に、Aは、手付を買主に返還して、契約を一方的に解除した。 | × |
4 | 28-28-ウ | 宅建業者が買主から手付金500万円を受領した場合、買主に当該手付金500万円を償還して、契約を一方的に解除することができる。 | × |
5 | 27-40-ア | 3,000万円の建物の売買に関し「売主が履行に着手するまで、買主は、売買代金の1割を支払うことで契約の解除ができる」とする特約を定め、Bから手付金10万円を受領した。この場合、特約は有効。 | × |
6 | 25-38-ウ | 当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に手付金・中間金の倍額を支払い、買主は売主に手付金・中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約は有効である。 | × |
7 | 22-39-3 | 売主が、売買契約の解除を行う場合、買主に対して「手付の倍額を償還して、契約を解除する。」という意思表示を書面で行うことのみをもって、契約を解除できる。 | × |
8 | 20-40-1 | 売主は、解除にあたり、手付の3倍返しが必要という特約は有効。 | ◯ |
9 | 19-34-1 | 売主は、手付を償還すれば解除できる。 | × |
10 | 18-39-3 | 売主は、手付を償還すれば解除できるという特約は無効。 | ◯ |
11 | 18-41-1 | 売主は、手付解除をした買主に対し、違約金の請求が可能。 | × |
12 | 15-41-1 | 「相手方が履行に着手するまで、買主は手付金の半額を放棄し、売主は手付金の倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、有効である。 | ◯ |
13 | 13-41-3 | 売主は、手付を返還すれば解除できるという特約は有効。 | × |
14 | 11-33-1 | 「当事者の一方が契約の履行に着手するまで、買主は手付金を放棄して、売主は手付金の2.5倍を償還して、契約を解除できる」旨の定めは無効である。 | × |
15 | 07-43-3 | 「買主は手付金の半額を放棄すれば解除できる」という特約があっても、手付金全額を放棄しなければ解除できない。 | × |
16 | 07-45-2 | 「買主は手付金・中間金を放棄し、売主はそれらの倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、有効である。 | × |
17 | 06-43-3 | 「買主は手付の半額を放棄し、売主は手付全額を償還して、契約を解除できる」と定めても、売主は手付の倍返しが必要。 | ◯ |
18 | 06-43-4 | 「買主が履行に着手するまで、売主は手付の3倍額を償還して解除できる」と定めた場合、売主は手付の倍額償還だけでは解除できない。 | ◯ |
19 | 05-43-1 | 「買主は手付金を放棄し、売主はその3倍額を償還して、契約を解除できる」という特約は、宅建業法に違反する。 | × |
2 誤り
Aは、自ら売主となる売買契約において、契約不適合担保責任につき、民法よりも買主に不利な内容の特約をすることができません。これに反する特約は無効です(宅建業法40条2項)。
ここで民法を見てみると、「相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」となっています(民法541条本文)。すなわち、本肢の特約と全く同内容です。したがって、本肢の特約は、「民法よりも買主に不利」なものではなく、有効です。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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買主が知っている欠陥 | |||
1 | 21-38-イ | 「重要事項として説明した欠陥については担保責任を負わない」という特約は有効。 | ◯ |
2 | 11-33-3 | 契約に「Aは、宅地の引渡しの日から2年間、当該宅地の不具合を担保すべき責任を負うが、Bがその不具合を知っていた場合についてはその責任を負わない」旨定めた場合、その定めは有効である。 | × |
売主の帰責事由 | |||
1 | 29-27-イ | 売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による契約不適合についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。 | ◯ |
2 | 19-41-3 | 「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。 | × |
3 | 17-42-4 | 「契約不適合保責任を負うのは、売主に帰責事由がある場合に限る」という特約は有効。 | × |
4 | 09-41-2 | 「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は宅建業法に違反しない。 | × |
5 | 05-45-1 | 「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。 | × |
担保責任追及方法の限定 | |||
1 | 29-27-ウ | 損害賠償の請求をすることはできるが、契約を解除することはできないとする特約を定めた場合、その特約は有効である。 | × |
2 | 25-38-ア | 雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の契約不適合についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。 | × |
3 | 24-39-4 | 「損害賠償のみ可能、解除不可」という特約は宅建業法に違反する。 | ◯ |
4 | 11-33-2 | 「契約の解除ができるのは、相当の期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に履行がないときに限る」という特約は無効。 | × |
5 | 09-41-1 | 「契約は解除できないが、損害賠償請求はできる」という特約は無効。 | ◯ |
「契約不適合担保責任を負わない」旨の特約 | |||
1 | R02-42-4 | 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業者ではない買主との間で自ら売主として締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。 | × |
2 | 27-39-2 | 買主が建物を短期間使用後取り壊す予定である場合、契約不適合担保責任を負わない旨の特約を定めることができる。 | × |
3 | 27-43-1 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら売主となる乙県内に所在する中古住宅の売買の業務に関し、当該売買の契約においてその目的物の契約不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を付した。この場合、Aは、乙県知事から指示処分を受けることがある。 | ◯ |
4 | 21-38-ア | 「契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。 | × |
5 | 21-38-ウ | 「契約不適合担保責任を負わない」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。 | × |
6 | 20-09-1 | 「契約不適合担保責任を負わない」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。 | × |
その他 | |||
1 | 24-39-1 | 契約不適合担保責任を負う期間に関し、特約を定めないことは宅建業法に違反する。 | × |
3 誤り
■契約不適合責任を負う期間について
宅建業者Aは、自ら売主となる売買契約において、契約不適合担保責任につき、民法よりも買主に不利な内容の特約をすることができません。例外は、不適合について買主が売主に通知するまでの期間を引渡しから2年以上とするものに限られます(宅建業法40条1項)。そして、これに反する特約は無効です(同条2項)。
「Aは、宅地の引渡しの日から2年間、当該宅地の不具合を担保すべき責任を負う」という本肢の特約は、「引渡しから2年以内に通知すればよい」と定める場合よりも買主に不利であるため、無効です。
■買主が知っていた不具合について
契約不適合担保責任というのは、あくまで「宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任」です(宅建業法35条1項13号)。
買主が物件の不具合について知っていたのであれば、不具合のある物件を取引するという契約があったわけです。その不具合を「契約の内容に適合しない」ということはできません。
したがって、「Bがその不具合を知っていた場合についてはその責任を負わない」という特約は、この部分に限っていえば、有効です。
■まとめ
特約の中には、無効な部分と有効な部分があります。
無効な要素を含んでいる以上、特約全体は、無効です。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
買主が知っている欠陥 | |||
1 | 21-38-イ | 「重要事項として説明した欠陥については担保責任を負わない」という特約は有効。 | ◯ |
2 | 11-33-3 | 契約に「Aは、宅地の引渡しの日から2年間、当該宅地の不具合を担保すべき責任を負うが、Bがその不具合を知っていた場合についてはその責任を負わない」旨定めた場合、その定めは有効である。 | × |
売主の帰責事由 | |||
1 | 29-27-イ | 売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による契約不適合についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。 | ◯ |
2 | 19-41-3 | 「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。 | × |
3 | 17-42-4 | 「契約不適合保責任を負うのは、売主に帰責事由がある場合に限る」という特約は有効。 | × |
4 | 09-41-2 | 「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は宅建業法に違反しない。 | × |
5 | 05-45-1 | 「売主に帰責事由がない場合、契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。 | × |
担保責任追及方法の限定 | |||
1 | 29-27-ウ | 損害賠償の請求をすることはできるが、契約を解除することはできないとする特約を定めた場合、その特約は有効である。 | × |
2 | 25-38-ア | 雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の契約不適合についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。 | × |
3 | 24-39-4 | 「損害賠償のみ可能、解除不可」という特約は宅建業法に違反する。 | ◯ |
4 | 11-33-2 | 「契約の解除ができるのは、相当の期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に履行がないときに限る」という特約は無効。 | × |
5 | 09-41-1 | 「契約は解除できないが、損害賠償請求はできる」という特約は無効。 | ◯ |
「契約不適合担保責任を負わない」旨の特約 | |||
1 | R02-42-4 | 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業者ではない買主との間で自ら売主として締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。 | × |
2 | 27-39-2 | 買主が建物を短期間使用後取り壊す予定である場合、契約不適合担保責任を負わない旨の特約を定めることができる。 | × |
3 | 27-43-1 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら売主となる乙県内に所在する中古住宅の売買の業務に関し、当該売買の契約においてその目的物の契約不適合を担保すべき責任を負わない旨の特約を付した。この場合、Aは、乙県知事から指示処分を受けることがある。 | ◯ |
4 | 21-38-ア | 「契約不適合担保責任を負わない」という特約は有効。 | × |
5 | 21-38-ウ | 「契約不適合担保責任を負わない」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。 | × |
6 | 20-09-1 | 「契約不適合担保責任を負わない」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。 | × |
その他 | |||
1 | 24-39-1 | 契約不適合担保責任を負う期間に関し、特約を定めないことは宅建業法に違反する。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02-42-1 | 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負う期間をBがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。 | × |
2 | R01-27-イ | 買主が同意した場合に限り、不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しの日から1年とする特約を有効に定めることができる。 | × |
3 | 30-29-4 | 契約の解除又は損害賠償の請求をするために、買主は、引渡しの日から1年以内に不適合について売主に通知しなければならないものとする旨の特約を定めた。 | × |
4 | 29-27-ア | 不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約を定めた場合、その特約は無効となる。 | × |
5 | 29-27-イ | 売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による契約不適合についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。 | ◯ |
6 | 27-34-2 | 「不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しから1年とする」旨の特約は無効で、通知期間は、引渡しから2年となる。 | × |
7 | 27-39-4 | 引渡しを売買契約締結の1月後とし、契約不適合担保責任について通知すべきう期間を契約日から2年間とする特約を定めることができる。 | × |
8 | 26-31-ア | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しの日から3年間とする」旨の特約は無効。 | × |
9 | 25-38-ア | 引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の契約不適合についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。 | × |
10 | 24-39-3 | 「買主が売主の担保責任を追及するためには、引渡しの日から2年以内に通知しなければならない」旨の特約は有効。 | ◯ |
11 | 23-37-4 | 買主が売主の担保責任を追及するに当たり不適合について通知すべき期間として、不適合を知った時から2年間とする旨の特約を定めることができる。 | ◯ |
12 | 22-40-1 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しの日から3年間とする」旨の特約はをすることができる。 | ◯ |
13 | 21-38-ウ | 「契約不適合担保責任を負わない」という特約は無効で、この場合、不適合について通知すべき期間は引渡しの日から2年間となる。 | × |
14 | 21-40-4 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は引渡しから2年」という特約は有効。 | ◯ |
15 | 20-40-4 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、引渡しから2年かつ不適合発見から30日以内」という特約は有効。 | × |
16 | 17-42-3 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、契約締結から2年」という特約は有効。 | × |
17 | 15-41-4 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、引渡しから1年」という特約は無効で、通知期間は「引渡しから2年」となる。 | × |
18 | 14-41-1 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、引渡しから半年」という特約は有効。 | × |
19 | 12-40-1 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、引渡しから1年」という特約は無効で、「不適合発見から1年」となる。 | ◯ |
20 | 11-33-3 | 契約に「Aは、宅地の引渡しの日から2年間、当該宅地の不具合を担保すべき責任を負うが、Bがその不具合を知っていた場合についてはその責任を負わない」旨定めた場合、その定めは有効である。 | × |
21 | 10-36-4 | 損害賠償額を予定した場合、「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は引渡しから1年」という特約は有効。 | × |
22 | 09-41-1 | 「売主が担保責任を負う期間は引渡しから2年間。買主は、契約を解除できないが、損害賠償を請求できる」旨の特約は無効。 | ◯ |
23 | 09-41-3 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は契約締結から2年。買主は、その期間内に瑕疵修補請求権も行使できる」という特約は有効。 | × |
24 | 09-41-4 | 「売主が担保責任を負う期間は、引渡しから1年」という特約は無効で、売主は、引渡しから2年間担保責任を負う。 | × |
25 | 08-48-2 | 「契約不適合担保責任責任を負う期間は、引渡しから1年」という特約は業者間取引では有効だが、業者以外を売主・業者を買主とする売買契約では無効。 | × |
26 | 07-43-1 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は引渡しから2年」という特約をしたときでも、不適合発見から1年は担保責任を負う。 | × |
27 | 07-45-1 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、不適合発見から1年半」という特約は有効。 | ◯ |
28 | 06-43-1 | 「契約不適合について買主が売主に通知すべき期間は、不適合の事実を知ってから1年」と定めても、「引渡しから2年」は担保責任を負う。 | × |
4 正しい
損害賠償の予定額と違約金の額を合算した額が代金の10分の2を超えることは禁止されています(宅建業法38条1項)。本肢では、これらの合計が3割とされているので、このような定めは、違法です。
しかし、この場合であっても、損害賠償・違約金に関する定めの全てが無効となるわけではなく、2割を超える部分について無効になるに過ぎません(同条2項)。
したがって、本肢の特約は、「損害賠償金・違約金の合計が800万円」という内容になります。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-27-1 | 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結する場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額についての特約を、代金の額の10分の2を超えて定めた場合、当該特約は全体として無効となる。 | × |
2 | 27-36-ア | 損害賠償20%+違約金10%とする特約は、全体として無効。 | × |
3 | 24-38-イ | 損害賠償10%+違約金20%の特約をした場合、違約金については全て無効。 | × |
4 | 19-41-2 | 20%を超える特約は全て無効。 | × |
5 | 17-43-4 | 40%とする特約は全て無効。 | × |
6 | 16-37-4 | 損害賠償20%超でも、重要事項として説明すれば有効。 | × |
7 | 14-40-4 | 20%を超える特約は全て無効。 | × |
8 | 11-33-4 | 20%を超える特約をした場合、20%を超える部分が無効。 | ◯ |
9 | 08-46-4 | 損害賠償20%+違約金20%の特約をした場合、それらの合計が20%となる。 | ◯ |
10 | 06-43-2 | 違約金40%と合意しても、20%を超える部分については請求できない。 | ◯ |
11 | 01-48-3 | 損害賠償額を33%と特約した場合、その特約は無効であり、損害賠償の額は予定しなかったことになる。 | × |
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家坂先生
お世話になります。
本問の肢の2について質問いたします。
私は「BがAに相当の期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に履行がないときに限る」
という点について、「催告によらない解除」ができないので買主に不利な定めではないかと判断してしまいました。
上記について何が間違っているのでしょうか?
宅地建様
ご質問ありがとうございます。
回答が遅くなって申し訳ありません。
肢2の件ですが、令和2年施行の民法改正に合わせるために、オリジナルの出題をだいぶ修正しています。
この問題に限らず、過去問の内容を修正する際のテーマは、「最小限の修正にとどめる。」「オリジナル出題の意図を極力活かす。」ことにあります。
本問に関するオリジナルの出題の意図は、
「問題文の特約は、民法の規定と同内容である。→民法より買主に不利とは言えない。→特約は有効」
と考えさせる点にあります。
そのためのネタとして、私が導入したのが「解除に関する事前催告のルール」でした。
これに関して、宅地建さんのお考えは、
「『催告によらない解除』まで禁止しているので、民法よりも買主に不利ではないか。」
というものです。
確かにそのような考えかたもあり得ます。
しかし、私は、そこまで深く考えずに本肢を正しいと判断すべきだと考えています。
理由は、以下の通りです。
【理由1】原則・例外の思考方法
宅地建さんご指摘の通り、民法には、「催告による解除」と「催告によらない解除」という2つの解除が存在します。
これらの間には、「催告による解除」が原則であり、「催告によらない解除」はあくまで例外です。
このように「原則」と「例外」が存在する場合、「原則だけを考えるのか。」「例外まで考える必要があるのか。」というのは、色々な問題で悩まされるテーマです。
この悩みを防止するために、問題文で、「例外まで考えてください!」と誘導する場合もあります。
この問題でいえば、「BがAに催告をしない限り、契約の解除をすることは『一切』できない。」などとして、「催告によらない解除もあるから、『一切』はウソだ!」と判断させるのです。
しかし、本問について、末尾の「その定めは無効である。」を維持しようとすると、問題文中に「民法第542条による催告によらない解除が可能である場合を除いては」などの文言を入れることになり、他の選択肢と全く異質の見た目になってしまいます。バレバレの選択肢になってしまうわけです。
【理由2】他の選択肢との関係
原則・例外の思考方法で行き詰まったときに頼るのが「他の選択肢の正誤を考える。」という方法です。
この問題では、肢4が「正しい」記述であることは明らかです。
このことから逆算して、肢2については、「原則だけを考える」方法を使って、「誤り」と判断することになります。
以上が、この問題に法改正対応の修正を施した際の私の考えかたです。
分かりにくいものだったでしょうか。
より明確な修正方法がないか、あらためて考えてみようと思います。
ご指摘をいただき、ありがとうございました。
家坂先生
お世話になります。
度々申し訳ございません。
本問の肢の2について、
「Aが当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にその不適合を担保すべき責任を負う場合、Bは、損害賠償の請求をすることができるが、契約の解除ができるのは、BがAに相当の期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に履行がないときに限る」
「相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」
【本肢の特約と全く同内容です。】
上記が理解できず悩んでおります。
お手数ですが、もう少しだけわかりやすくご回答いただければ幸いです。
よろしくお願い致します。
山岡様
説明が分かりにくかったでしょうか。申し訳ありません。
肢2を理解するためには、前提として、宅建業法と民法、両方の知識が必要です。
(1)宅建業法
宅建業法は、契約不適合担保責任に関し、「民法より不利な」特約を禁止しています。
例外は、契約不適合の通知期間を「引渡しから2年以上」とするものに限られます。
これについては、[Step.1]基本習得編で
■宅建業法[16]契約不適合担保責任についての特約の制限
2.宅建業法のルール
(1).特約
を確認してください。
(2)民法
履行遅滞の場合、契約を解除することができるのは、

・相当期間を定めて催告し、
・その期間内に履行がない場合
に限られます。
これについては、[Step.1]基本習得編で
■民法[23]契約の解除
2.解除の要件・手続
(1).催告による解除
を確認してください。
(3)本問肢2の検討
肢2の特約は、
というものです。
これは、(2)で説明した民法と全く同内容です。
したがって、「民法より不利な」特約ではありません。
(1)で説明した通り、宅建業法は、「民法より不利な」特約でなければ、その有効性を認めています。
それにもかかわらず、「その定めは無効」としているので、肢2は誤りです。
家坂先生
非常に具体的に分かりやすい回答を頂き本当に
ありがとうございます。
また、別問の(平成23年問42)案内所(個数問題)についても
受験テクニックをご教示頂きありがとうございます。
『これが正しいかどうか、だけを考えるのが試験のルールです。』
上記を念頭に10月まで頑張って取り組んでまいります。
ありごうとうざいました!
疑問が解消できて何よりです。
本試験まで頑張っていきましょう!