【宅建過去問】(平成25年問37)報酬(個数問題)
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- ア A社はBから3,600,000円の報酬を受領し、C社はDから1,790,000円の報酬を受領した。
- イ A社はBから2,200,000円の報酬を受領し、C社はA社及びDの了承を得た上でDから1,370,000円の報酬を受領した。
- ウ A社はBから1,660,000円の報酬を受領し、C社はDから1,669,500円を報酬として受領したほか、Dの特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用について、Dが事前に負担を承諾していたので、50,000円を受領した。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- なし
正解:1
土地付建物の本体価格
報酬計算の基礎となる「物件の価額」とは、消費税抜きの本体価格という意味です。しかし、問題文で与えられた土地付建物の代金5,500万円は税込金額になっています。まずは、本体価格を求めなければなりません。
ここで、土地代金にはそもそも消費税が課税されないことを思い出しましょう。すなわち、土地代金2,200万円は、それ自体が本体価格です。これを代金全体5,500万円から引き算すると、
5,500-2,200=3,300万円
これが、建物の税込価格であることが分かります。
つまり、建物に関しては、本体価格3,000万円、消費税300万円です。
以上より、土地付建物の本体価格は、
2,200+3,000=5,200万円
と求められます。
媒介における報酬の限度額(C社)
400万円超の物件の場合、売買の媒介における報酬の限度額は、
物件の価額×3%+6万円
で求めることができます。
本問のケースでは、
5,200万×3%+6万=1,620,000円
です。
課税業者の場合、これに消費税分が上乗せされますから、報酬の限度額は、
1,620,000×1.1=1,782,000円
となります。
代理における報酬の限度額(A社)
売買の代理の場合、報酬の限度額は、媒介の場合の2倍です。具体的には、
1,782,000×2=3,564,000円
になります。
複数業者が関与した場合の限度額
複数の業者が関与した場合には、全部の業者を合計しても、代理における報酬の限度額を超えることができません。
まとめ
以上をまとめると、以下の3つの基準を守る必要があることが分かります。
1 | 媒介業者C社の限度額 | 1,782,000円 |
2 | 代理業者A社の限度額 | 3,564,000円 |
3 | 両者を合わせた限度額 | 3,564,000円 |
ア 違反する
A社の限度額、C社の限度額をそれぞれ超えてしまっているため、宅建業法に違反します。
限度額 | 受領額 | 判定 | |
媒介業者C社 | 1,782,000円 | 1,790,000円 | NG |
代理業者A社 | 3,564,000円 | 3,600,000円 | NG |
両者の合計 | 3,564,000円 |
イ 違反する
A社、C社それぞれの限度額は守られていますが、両者を合算した金額3,570,000円が限度額を超えています。したがって、宅建業法違反です。
限度額 | 受領額 | 判定 | |
媒介業者C社 | 1,782,000円 | 1,370,000円 | OK |
代理業者A社 | 3,564,000円 | 2,200,000円 | OK |
両者の合計 | 3,564,000円 | 3,570,000円 | NG |
ウ 違反しない
A社、C社それぞれの限度額は守られています。また、両者を合算した金額3,329,500円も限度額の範囲内です。
限度額 | 受領額 | 判定 | |
媒介業者C社 | 1,782,000円 | 1,669,500円 | OK |
代理業者A社 | 3,564,000円 | 1,660,000円 | OK |
両者の合計 | 3,564,000円 | 3,329,500円 | OK |
宅建業者は、①依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、②その負担について事前に依頼者の承諾があるものであれば、報酬とは別途に受領することが許されます。具体的には、依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査や空家の特別な調査等に要する実費の費用がこれに該当します(宅建業法46条2項、報酬額告示第九、解釈・運用の考え方)。
本肢にある、遠隔地への現地調査費用は、①②をみたすので、宅建業者C社は、依頼者Dからこれを受領することができます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R05-27-3 | 既存住宅の売買の媒介を行う宅地建物取引業者が売主に対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行った場合、宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。 | ◯ |
2 | R05-34-イ | 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約を成立させた。AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。 | × |
3 | R05-34-ウ | 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約を成立させた。CはDに対し、賃貸借契約書の作成費を、Dから限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領した。 | × |
4 | R04-27-1 | Aが、Bから売買の媒介を依頼され、Bからの特別の依頼に基づき、遠隔地への現地調査を実施した。その際、当該調査に要する特別の費用について、Bが負担することを事前に承諾していたので、Aは媒介報酬とは別に、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができる。 | ◯ |
5 | R04-31-1 | Aが、Bと一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該土地付建物の価額について意見を述べるために行った価額の査定に要した費用をBに請求することはできない。 | ◯ |
6 | R03s-31-エ | 宅地建物取引業者は、依頼者から媒介報酬の限度額まで受領する他に、依頼者の依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を別途受領することができる。 | × |
7 | R03-30-イ | 宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。 | × |
8 | R02s-34-4 | 宅地建物取引業者は、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額を報酬額に合算する場合は、代理又は媒介に係る報酬の限度額を超える額の報酬を依頼者から受けることができる。 | × |
9 | R01-30-ウ | 建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。 | × |
10 | R01-32-3 | 宅地建物取引業者Aは、既存住宅の売買の媒介について、Aが売主Bに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはBから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。 | ◯ |
11 | H30-30-3 | 建物が店舗用である場合、宅地建物取引業者Aは、貸主Bからの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が賃貸借契約の成立に寄与したときは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額をBに請求することができる。 | × |
12 | H30-33-3 | 宅地建物取引業者Aは、Bから、Bが所有し居住している甲住宅の売却について媒介の依頼を受けた。Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾を得ていなくても、同調査に要した費用をBに請求することができる。 | × |
13 | H29-26-2 | 宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、依頼者の依頼によって行った広告の料金に相当する額を別途受領することができない。 | × |
14 | H29-26-3 | 宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った対価として、報酬を受領することができる。 | × |
15 | H29-43-エ | 専任媒介契約に係る通常の広告費用は宅地建物取引業者Aの負担であるが、指定流通機構への情報登録及び依頼者BがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができる。 | × |
16 | H28-33-イ | 宅地建物取引業者は、媒介に係る報酬の限度額の他に、依頼者の依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、依頼者から受け取ることができる。 | × |
17 | H26-37-ア | 宅地建物取引業者Aが居住用建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、Aは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額を請求できる。 | × |
18 | H25-37-ウ | 宅地建物取引業者A社(消費税課税事業者)は売主Bから土地付建物の売却の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C社(消費税課税事業者)は買主Dから戸建住宅の購入の媒介の依頼を受け、BとDの間で売買契約を成立させた。なお、土地付建物の代金は5,500万円(うち、土地代金は2,200万円)で、消費税額及び地方消費税額を含むものとする。A社はBから1,660,000円の報酬を受領し、C社はDから1,669,500円を報酬として受領したほか、Dの特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用について、Dが事前に負担を承諾していたので、50,000円を受領した。 | ◯ |
19 | H24-35-エ | 宅地建物取引業者A社が売主Bから土地付中古別荘の売却の代理の依頼を受け、売買契約を成立させた場合、A社は、代理報酬のほかに、Bからの依頼の有無にかかわらず、通常の広告の料金に相当する額についても、Bから受け取ることができる。 | × |
20 | H23-36-3 | 宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬とは別に、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。 | × |
21 | H23-40-4 | 宅地建物取引業者は、媒介報酬の限度額まで受領できるほかに、法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面を作成した対価として、文書作成費を受領することができる。 | × |
22 | H22-42-2 | 宅地建物取引業者は、国土交通大臣の定める限度額を超えて報酬を受領してはならないが、相手方が好意で支払う謝金は、この限度額とは別に受領することができる。 | × |
23 | H19-42-2 | 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、B所有の建物についてB及びCから媒介の依頼を受け、Bを貸主、Cを借主とする賃貸借契約を成立させた。Aは、媒介報酬の限度額のほかに、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、Bから受け取ることができる。 | × |
24 | H18-43-イ | 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受け、Cを買主として代金1,000万円で売買契約を成立させた。その際、Bから報酬30万円のほかに、Bの特別の依頼による広告に要した実費10万円を受領した。 | ◯ |
25 | H17-34-4 | 宅地建物取引業者Aは、建物の貸借の媒介に当たり、依頼者の依頼に基づいて広告をした。Aは報酬とは別に、依頼者に対しその広告料金を請求することができない。 | × |
26 | H12-35-2 | 宅地建物取引業者は、建物の売買の媒介をするに当たり、建物の売主から特別の依頼を受けて広告をし、当該建物の売買契約が成立したので、国土交通大臣が定めた報酬限度額の報酬のほかに、その広告に要した実費を超える料金を受領した。 | × |
27 | H12-38-3 | 宅地建物取引業者Aが、建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告した場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、Aは、報酬とは別に、その広告料金を請求できる。 | × |
28 | H09-43-1 | 宅地建物取引業者Aが宅地の売買の媒介をするに当たり、特に依頼者から依頼されて特別の広告を行った場合には、当該売買が不成立に終わったときでも、Aは、その広告の料金に相当する額を依頼者から受け取ることができる。 | ◯ |
まとめ
以上より、宅建業法に違反しないのはウの1つのみです。正解は肢1。
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- [Step.2]一問一答編で「一問一答式」の本試験過去問で基礎知識を確認し、○×を見分ける解法テクニックを身に付ける。
- [Step.3]過去演習編で「四択問題」の解決法を学ぶ。
この3段階で、着実に合格レベルに進むことができます。
代金5400万円なのですが、なぜ5500万円になるんですか??
ふじ様
ご質問ありがとうございます。
問題文をご覧いただけば分かるように、この問題は、
「土地付建物の代金は5,500万円(うち、土地代金は2,200万円)」
という設定になっています。
「代金5400万円」ではありません。
解説の文章も動画も、この設定を前提に制作しました。
そもそも本問が出題された平成25年当時、この部分は、
「土地付建物の代金は5,250万円(うち、土地代金は2,100万円)」
とされていました。
これは、当時の消費税率が5%だったからです。
その後、平成26年4月1日~令和元年9月30日の期間は消費税率が8%でしたので、この箇所を
「土地付建物の代金は5,400万円(うち、土地代金は2,160万円)」
と修正していました。
令和元年10月1日以降は消費税率が10%になりましたので、
「土地付建物の代金は5,500万円(うち、土地代金は2,200万円)
という設定に変更しています。
ふじさんがお手持ちの教材に「代金5400万円」という記載があるとすれば、現在の法令に合っていない古い物を使っている可能性があります。
宅建試験は、「その年の4月1日現在施行」の法令に基づいて出題されます。古い教材を使っていると、法改正を知らないまま受験することになりかねません。ご注意ください。
理解できました!
家坂先生の
https://e-takken.tv/gh21/
こちらのページ、めちゃくちゃわかりやすかったです。
自分のテキストより圧倒的に分かりやすくて感動しました。
ありがとうございました。
宅建太郎子様
分かりにくい教材を使うと、他の教材を調べたり、質問したり、余計な手間がかかります。
分かりやすい教材を使うことを強くお勧めします。
質問させてください。
https://e-takken.tv/30-31/
この過去問1番では、5万円受け取れないのに
こちらの過去問ウでは現地調査等の費用の5万円受け取れるのでしょうか??
宅建太郎様
ご質問ありがとうございます。
2つの選択肢は別の論点に関するもので、単純に比較できません。
以下、個別に説明します。
(1)平成30年問31肢1
「空家等の売買の特例」に関する選択肢です。
この特例において、「空家等」とは、「売買代金400万円以下(税別)の宅地又は建物」のことをいいます。
しかし、本肢は「土地付中古住宅(代金500万円)」に関するもので、売買代金が400万円を超えています。
したがって、「空家等の売買の特例」の適用を受けることはできません。
(2)平成25年問37肢ウ
本肢は「(買主)Dの特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査」に関するものです。
つまり、「依頼者の依頼による費用」という論点から出題されています。
そして、依頼者から特別に依頼があった場合の広告料金や遠隔地への現地調査費用は、上限額の報酬とは別に受領することが可能です。
(3)基本知識の確認
以上2つの論点について、【講義編】では、
■宅建業法[21]報酬
5.限度額を超えて受領できるもの
(1).依頼者の依頼による費用
(2).空家等の売買に関する費用
で説明しています。
この解説の見直しを強くお勧めします。