■講義編■宅建業法[21]報酬


売買契約や賃貸借契約を媒介・代理した場合、宅建業者は、契約成立に関する報酬を受け取ることができます。
この報酬の計算方法は、売買の場合と貸借の場合とで異なります。また、媒介と代理とでも、計算方法が違ってきます。
登場人物の関係を図示した上で、間違いのないように計算しましょう。ここでは、計算のルールと手順を勉強します。

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1.OUTLINE

2.売買の場合

(1).計算のベース=売買代金(本体価格)
①消費税の課税・非課税

②「税込価格」が与えられた場合

(2).媒介のケース
①報酬の割合

 

②計算方法
③公式

 

(3).代理のケース

媒介の報酬×2

(4).複数業者の宅建業者が関与する場合

合計額≦媒介の報酬×2

(5).報酬にかかる消費税
①課税業者・免税業者

 

②計算式

 

3.交換の場合

評価額に差があるとき
→高い方が基準
→売買の場合と同じ計算方法

4.貸借の場合

(1).計算のベース=本体賃料
①消費税の課税・非課税

②「税込賃料」が与えられた場合

(2).媒介・代理のケース

(3).複数の宅建業者が関与する場合

合計額≦1か月分の賃料

(4).報酬にかかる消費税

5.限度額を超えて受領できるもの

(1).依頼者の依頼による費用


★過去の出題例★

依頼者の依頼による費用(宅建業法[21]5(1))
年-問-肢内容正誤
1R05-27-3既存住宅の売買の媒介を行う宅地建物取引業者が売主に対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行った場合、宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
2R05-34-イ宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約を成立させた。AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。×
3R05-34-ウ宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約を成立させた。CはDに対し、賃貸借契約書の作成費を、Dから限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領した。×
4R04-27-1Aが、Bから売買の媒介を依頼され、Bからの特別の依頼に基づき、遠隔地への現地調査を実施した。その際、当該調査に要する特別の費用について、Bが負担することを事前に承諾していたので、Aは媒介報酬とは別に、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができる。
5R04-31-1Aが、Bと一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該土地付建物の価額について意見を述べるために行った価額の査定に要した費用をBに請求することはできない。
6R03s-31-エ宅地建物取引業者は、依頼者から媒介報酬の限度額まで受領する他に、依頼者の依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を別途受領することができる。
×
7R03-30-イ宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。×
8R02s-34-4
宅地建物取引業者は、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額を報酬額に合算する場合は、代理又は媒介に係る報酬の限度額を超える額の報酬を依頼者から受けることができる。×
9R01-30-ウ
建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。
×
10R01-32-3
宅地建物取引業者Aは、既存住宅の売買の媒介について、Aが売主Bに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはBから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
11H30-30-3
建物が店舗用である場合、宅地建物取引業者Aは、貸主Bからの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が賃貸借契約の成立に寄与したときは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額をBに請求することができる。×
12H30-33-3
宅地建物取引業者Aは、Bから、Bが所有し居住している甲住宅の売却について媒介の依頼を受けた。Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾を得ていなくても、同調査に要した費用をBに請求することができる。×
13H29-26-2
宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、依頼者の依頼によって行った広告の料金に相当する額を別途受領することができない。×
14H29-26-3
宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った対価として、報酬を受領することができる。×
15H29-43-エ
専任媒介契約に係る通常の広告費用は宅地建物取引業者Aの負担であるが、指定流通機構への情報登録及び依頼者BがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができる。×
16H28-33-イ
宅地建物取引業者は、媒介に係る報酬の限度額の他に、依頼者の依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、依頼者から受け取ることができる。
×
17H26-37-ア宅地建物取引業者Aが居住用建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、Aは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額を請求できる。
×
18H25-37-ウ宅地建物取引業者A社(消費税課税事業者)は売主Bから土地付建物の売却の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C社(消費税課税事業者)は買主Dから戸建住宅の購入の媒介の依頼を受け、BとDの間で売買契約を成立させた。なお、土地付建物の代金は5,500万円(うち、土地代金は2,200万円)で、消費税額及び地方消費税額を含むものとする。A社はBから1,660,000円の報酬を受領し、C社はDから1,669,500円を報酬として受領したほか、Dの特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用について、Dが事前に負担を承諾していたので、50,000円を受領した。
19H24-35-エ宅地建物取引業者A社が売主Bから土地付中古別荘の売却の代理の依頼を受け、売買契約を成立させた場合、A社は、代理報酬のほかに、Bからの依頼の有無にかかわらず、通常の広告の料金に相当する額についても、Bから受け取ることができる。
×
20H23-36-3宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬とは別に、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。
×
21H23-40-4宅地建物取引業者は、媒介報酬の限度額まで受領できるほかに、法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面を作成した対価として、文書作成費を受領することができる。×
22H22-42-2宅地建物取引業者は、国土交通大臣の定める限度額を超えて報酬を受領してはならないが、相手方が好意で支払う謝金は、この限度額とは別に受領することができる。
×
23H19-42-2宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、B所有の建物についてB及びCから媒介の依頼を受け、Bを貸主、Cを借主とする賃貸借契約を成立させた。Aは、媒介報酬の限度額のほかに、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、Bから受け取ることができる。×
24H18-43-イ宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受け、Cを買主として代金1,000万円で売買契約を成立させた。その際、Bから報酬30万円のほかに、Bの特別の依頼による広告に要した実費10万円を受領した。
25H17-34-4宅地建物取引業者Aは、建物の貸借の媒介に当たり、依頼者の依頼に基づいて広告をした。Aは報酬とは別に、依頼者に対しその広告料金を請求することができない。
×
26H12-35-2宅地建物取引業者は、建物の売買の媒介をするに当たり、建物の売主から特別の依頼を受けて広告をし、当該建物の売買契約が成立したので、国土交通大臣が定めた報酬限度額の報酬のほかに、その広告に要した実費を超える料金を受領した。×
27H12-38-3宅地建物取引業者Aが、建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告した場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、Aは、報酬とは別に、その広告料金を請求できる。×
28H09-43-1宅地建物取引業者Aが宅地の売買の媒介をするに当たり、特に依頼者から依頼されて特別の広告を行った場合には、当該売買が不成立に終わったときでも、Aは、その広告の料金に相当する額を依頼者から受け取ることができる。
(2).空家等の売買に関する費用

通常の媒介・代理と比較して現地調査等の費用(人件費を含む。)を要する場合、
計算式で求めた報酬に加えて、現地調査等の費用を受領可能


★過去の出題例★

空家等の売買に関する費用(宅建業法[21]5(2))
年-問-肢内容正誤
1R04-27-4Aは、土地付建物について、売主Bから媒介を依頼され、代金300万円(消費税等相当額を含み、土地代金は80万円である。)で契約を成立させた。現地調査等の費用については、通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する旨、Bに対して説明し、合意の上、媒介契約を締結した。この場合、AがBから受領できる報酬の限度額は20万200円である。×
2R03-44-3宅地(代金300万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の媒介について、通常の媒介と比較して現地調査等の費用が6万円(消費税等相当額を含まない。)多く要した場合、依頼者双方から合計で44万円を上限として報酬を受領することができる。×
3R01-32-1宅地(代金200万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の代理について、通常の売買の代理と比較して現地調査等の費用が8万円(消費税等相当額を含まない。)多く要した場合、売主Bと合意していた場合には、AはBから308,000円を上限として報酬を受領することができる。
4R01-32-4宅地(代金200万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の媒介について、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を多く要しない場合でも、売主Dと合意していた場合には、AはDから198,000円を報酬として受領することができる。×
5H30-31-1土地付中古住宅(代金500万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Bから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をBに対し説明した上で、AがBから受け取ることができる報酬の上限額は286,000円である。×
6H30-31-2土地付中古住宅(代金300万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが買主Cから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ4万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をCに対し説明した上で、AがCから受け取ることができる報酬の上限額は198,000円である。×
7H30-31-3土地(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Dから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ2万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をDに対し説明した上で、AがDから受け取ることができる報酬の上限額は198,000円である。
8H30-31-4中古住宅(1か月分の借賃15万円。消費税等相当額を含まない。)の貸借について、Aが貸主Eから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の貸借の媒介に比べ3万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をEに対し説明した上で、AがEから受け取ることができる報酬の上限額は198,000円である。×

6.報酬に関連する知識

(1).報酬額の掲示

事務所ごとに
公衆の見やすい場所に

(2).媒介契約書の記載事項

(3).不当に高額の報酬要求の禁止

要求すること自体を禁止

[Step.2]一問一答式実戦応用編講座

実戦応用編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。
※「報酬」の問題は選択肢別に分解するのが困難なため、この項目については、一問一答式演習を行っていません。

解説動画を視聴する方法受講料
1eラーニング講座[Step.2]実戦応用編を受講1,980円~
2YouTubeメンバーシップ(「スリー・ステップ オールインワン」レベル)に登録3,590円/月
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必須資料『一問一答式過去問集』を解き、自己採点をしたうえで、解説講義を視聴してください。

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■講義編■宅建業法[21]報酬” に対して1件のコメントがあります。

  1. 家坂 圭一 より:

    村井さんから、
    【宅建過去問】(令和02年12月問48)統計
    に対して、報酬に関する質問をいただきました。

    内容から見ると、こちらの項目で回答するほうが他の受験生のかたにも役立ちそうです。
    そこで、場所を移して回答することにします。

    【質問内容】

    「宅建業者Aが売り主甲から土地、建物の売買の代理を依頼され、買主乙から土地、建物の購入の媒介を依頼された場合」
    この場合と
    「宅建業者Aが売り主甲から土地、建物の売買の代理を依頼され、買主乙と売買契約を成立させた場合」

    この違いがあまりよく判らず苦戦しています。報酬限度額の分野なのですが、
    単に売買の代理を依頼された場合と、代理の依頼+媒介の依頼を受けた場合とでは、宅建業者の成すべき内容はどう変わってくるのでしょうか。

    売主・買主のどちらから、どれくらいの報酬を受領できるか、
    という点に違いがあります。

    「宅建業者Aが売り主甲から土地、建物の売買の代理を依頼され、買主乙から土地、建物の購入の媒介を依頼された場合」


    この場合、Aは、
    (1)売主から代理に関する報酬
    (2)買主から媒介に関する報酬
    をそれぞれ受領することができます。
    (ただし、報酬の総額は、媒介の報酬×2(=代理の報酬の範囲に限定されます。)

    「宅建業者Aが売り主甲から土地、建物の売買の代理を依頼され、買主乙と売買契約を成立させた場合」


    Aは、
    ・売主から代理に関する報酬
    を受領することができるだけです。
    買主との間には契約関係がないので、買主から報酬を受け取ることはできません。

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