■講義編■民法[15]債務不履行
建物の売買契約を締結した場合、買主は代金を支払う義務(債務)を負い、売主は建物を引き渡す義務を負います。期日になっても買主が代金を支払わなかったり(履行遅滞)、引渡しの前に売主の過失によって建物が燃えてしまった(履行不能)場合が、債務不履行の問題です。
債務不履行があった場合、債権者は、損害賠償を請求したり、契約を解除することができます。
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Contents
1.債務不履行とは
(1).売買契約のイメージ(⇒[24]1(1)(2))
①売主・買主がしなければならない行為
②売主・買主の債権・債務関係
(2).債務不履行の類型
①履行遅滞のイメージ
②履行不能のイメージ
③不完全履行のイメージ
2.債務不履行の要件
(1).履行遅滞
- 履行期に履行が可能であるにもかかわらず、履行期を過ぎても履行しないこと
- 不履行が違法であること
①履行期と履行遅滞
| 履行期の定め | 履行遅滞になるタイミング | |
| 1 | 確定期限があるとき | 期限の到来した時 |
| 2 | 不確定期限があるとき | ①②の早いほう ①期限到来後に履行の請求を受けた時 ②期限到来を知った時 |
| 3 | 期限の定めがないとき | 履行の請求を受けた時 |
| 4 | 【例外】不法行為に基づく損害賠償請求 | 損害の発生と同時(⇒[30]5(3)) |
履行期と履行遅滞(民法[15]2(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-05-2 | 善意の受益者は、その不当利得返還債務について、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。 | ◯ |
| 2 | R06-05-3 | 請負人の報酬債権に対して、注文者がこれと同時履行の関係にある目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、請負人に対する相殺後の報酬残債務について、当該残債務の履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。 | × |
| 3 | R06-05-4 | 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。 | × |
| 4 | R02s-04-1 | 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限が到来したことを知らなくても、期限到来後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。 | ◯ |
| 5 | H18-08-1 | AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行することとした。決済約定日に、Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかったので、Aは履行を拒否した。この場合、Bは、履行遅滞に陥り、遅延損害金支払債務を負う。 | ◯ |
| 6 | H08-09-1 | Bが、A所有の建物を代金8,000万円で買い受け、即日3,000万円を支払った。Bは、履行期前でも、Aに代金を提供して甲建物の所有権移転登記及び引渡しを請求し、Aがこれに応じない場合、売買契約を解除することができる。 | × |
②不履行が違法でない場合
- 留置権の存在(⇒[14]1(1))
- 同時履行の抗弁権の存在(⇒[22]1(3)①)
(2).履行不能
債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるとき
| 後発的不能 | 契約成立後に履行不能になったケース |
| 原始的不能 | 契約成立時点で既に履行不能だったケース |
(3).不完全履行
- 債務が一応は履行されたこと
- 履行が本来の内容でないこと
(例:種類・品質・数量が契約内容と不適合。⇒[24]3(1))
(4).履行遅滞中の履行不能
債務者が履行遅滞の責任を負っている
当事者双方の帰責事由がないのに履行不能に
→履行不能は、債務者の帰責事由によるものとみなす

履行遅滞中の履行不能(民法[15]2(4))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R02s-04-3 | 債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に、当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。 | ◯ |
| 2 | 08-11-4 | 買主が代金の支払を終えたのに、物件の引渡しを請求しても売主が応じない場合、建物が地震で全壊したときは、買主は、契約を解除して代金返還を請求することができない。 | × |
| 3 | 01-09-4 | 所有権移転登記が完了し、引渡し期日が過ぎたのに、売主が売買契約の目的物である家屋の引渡しをしないでいたところ、その家屋が類焼によって滅失した場合、買主は、契約を解除することができる。 | ◯ |
3.債務不履行の効果
(1).損害賠償の範囲
| 通常損害(通常生ずべき損害) | 予見可能性に関係なく賠償範囲 |
| 特別損害 | 当事者が予見すべきであった場合に賠償範囲 |
損害賠償の範囲(民法[15]3(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | H26-01-4 | 債務不履行によって生じた特別の損害のうち、債務者が、債務不履行時に予見し、又は予見することができた損害のみが賠償範囲に含まれる旨は、民法の条文に規定されている。 | × |
| 2 | H22-06-1 | 債権者は、債務の不履行によって通常生ずべき損害のうち、契約締結当時、両当事者がその損害発生を予見していたものに限り、賠償請求できる。 | × |
| 3 | H22-06-2 | 債権者は、特別の事情によって生じた損害のうち、契約締結当時、両当事者がその事情を予見していたものに限り、賠償請求できる。 | × |
(2).損害賠償額の予定
①目的
損害額の算定→複雑
予定額で簡単に解決
②ルール
| 債権者 | 債務不履行があったことを主張・立証するだけでよい。 →損害の発生や損害額は主張・立証不要 |
| 債務者 | 債務不履行の不成立を主張・立証すれば、免責される。 |
③予定という意味
実際の損害額の多少によらず、予定額で解決
④予定条項がない場合
実際に発生した損害額を賠償
損害額の証明が必要
損害賠償額の予定(民法[15]3(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | H26-01-2 | 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。 | ◯ |
| 2 | H16-04-3 | 手付金相当額を損害賠償の予定と定めた場合、損害がその額を超えていても、その額以上に損害賠償請求することはできない。 | ◯ |
| 3 | H14-07-1 | 賠償額の予定条項があっても、債務者が履行遅滞について帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。 | ◯ |
| 4 | H14-07-3 | 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合に限り、賠償額の減額をすることができる。 | × |
| 5 | H14-07-4 | 賠償額の予定条項がある場合、債権者は履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額を主張・立証する必要はない。 | ◯ |
| 6 | H06-06-4 | 実際の損害額が違約金より少なければ、違約金の減額を求めることができる。 | × |
| 7 | H04-07-4 | 賠償額の予定がない場合、売主から解除する場合の損害賠償額は手付の倍額とされる。 | × |
| 8 | H02-02-2 | 賠償額の予定は、契約と同時にしなければならない。 | × |
| 9 | H02-02-3 | 賠償額の予定は、金銭以外のものですることができる。 | ◯ |
| 10 | H02-02-4 | 賠償額を予定した場合、実際の損害額が予定額より大きいことを証明しても予定額を超えて請求することはできない。 | ◯ |
4.過失相殺

★過去の出題例★
過失相殺(民法[15]4)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | H27-01-4 | 債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。 | ◯ |
| 2 | H22-06-4 | 債務者から主張がなければ、裁判所は過失相殺を考慮することができない。 | × |
| 3 | H14-07-2 | 賠償額の予定があっても、裁判所は過失相殺の考慮が可能。 | ◯ |
5.金銭債務の特則

金銭債務の特則(民法[15]5)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R02s-07-3 | Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約が締結された。Bが売買契約で定めた売買代金の支払期日までに代金を支払わなかった場合、売買契約に特段の定めがない限り、AはBに対して、年5%の割合による遅延損害金を請求することができる。 | × |
| 2 | 24-08-2 | 貸主Aと借主Bとの間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年3パーセントの利率により算出する。 | ◯ |
| 3 | 24-08-4 | 当てにしていた入金がなかったため、借金が返済できなかった場合、債務不履行にはならない。 | × |
| 4 | 02-02-1 | 金銭債務の不履行については、債権者は、損害の証明をすることなく、損害賠償を請求できる。 | ◯ |
法定利率(民法[15]5)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R02s-07-3 | Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約が締結された。Bが売買契約で定めた売買代金の支払期日までに代金を支払わなかった場合、売買契約に特段の定めがない限り、AはBに対して、年5%の割合による遅延損害金を請求することができる。 | × |
| 2 | H28-01-1 | 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年3%とする。 | ◯ |
| 3 | H24-08-2 | 貸主Aと借主Bとの間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年3パーセントの利率により算出する。 | ◯ |
| 4 | H03-09-1 | 利率について別段の定めがないときは、貸主は、利息を請求することができない。 | × |
6.受領遅滞
(1).受領遅滞とは
債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない状況
(2).受領遅滞の効果
| 費用が増加した場合 | 債権者が負担 |
| 特定物引渡しの場合の注意義務 | 善管注意義務→自己の財産に対するのと同一の注意義務 |
(3).受領遅滞中の履行不能と帰責事由
債権者が受領遅滞中に債務者が履行遅滞の責任を負っている
当事者双方の帰責事由がないのに履行不能に
→履行不能は、債権者の帰責事由によるものとみなす。

受領遅滞(民法[15]6)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R02s-04-2 | 債務の目的が特定物の引渡しである場合、債権者が目的物の引渡しを受けることを理由なく拒否したため、その後の履行の費用が増加したときは、その増加額について、債権者と債務者はそれぞれ半額ずつ負担しなければならない。 | × |
[Step.2]一問一答編講座
一問一答編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。
| 解説動画を視聴する方法 | 受講料 | |
|---|---|---|
| 1 | eラーニング講座[Step.2]実戦応用編を受講 | 1,980円~ |
| 2 | YouTubeメンバーシップ(「スリー・ステップ オールインワン」レベル)に登録 | 3,590円/月 |
| 学習資料 | 『一問一答式過去問集』 | 無料ダウンロード |
令和7年 宅建解答速報・解説
毎年好評の「解答速報」は、本試験当日18:07に終了しました。
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