【宅建過去問】(平成17年問30) 免許の要否
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- Aの所有するオフィスビルを賃借しているBが、不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、AとBは免許を受ける必要はない。
- 建設業の許可を受けているCが、建築請負契約に付随して、不特定多数の者に建物の敷地の売買を反復継続してあっせんする場合、Cは免許を受ける必要はない。
- Dが共有会員制のリゾートクラブ会員権(宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの)の売買の媒介を不特定多数の者に反復継続して行う場合、Dは免許を受ける必要はない。
- 宅地建物取引業者であるE(個人)が死亡し、その相続人FがEの所有していた土地を20区画に区画割りし、不特定多数の者に宅地として分譲する場合、Fは免許を受ける必要はない。
正解:1
1 正しい
Aは、自己所有のオフィスビルをBに貸している。また、Bは、そのビルを不特定多数のものに転貸している。
自ら貸主となる行為は、転貸借の場合も含め、宅建業に該当しない(宅建業法2条2号)。
したがって、AもBも宅建業の免許を受ける必要がない。
自ら当事者 | 媒介・代理 | |
売買・交換 | あたる | あたる |
貸借 | あたらない | あたる |
■参照項目&類似過去問
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自ら貸主・転貸主となる場合(宅建業法[01]3(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R06-33-2 | 建物の所有者と賃貸借契約を締結し、当該建物を自らが貸主となって貸借(転貸)するための広告をする場合においては、自らが契約の当事者となって貸借を成立させる旨を当該広告に明示しなくても、法第34条の規定に違反しない。 | ◯ |
2 | R05-38-ア | 宅地建物取引業者が、自ら所有する複数の建物について、複数人に対し、反復継続して賃貸する行為は、宅地建物取引業に該当しない。 | ◯ |
3 | R04-40-イ | 建物の貸主が宅地建物取引業者で、代表者が宅地建物取引士であり建物の事情に詳しいことから、その代表者が作成し、記名した重要事項説明書がこちらになります。当社の宅地建物取引士は同席しますが、説明は貸主の代表者が担当します。 | × |
4 | R03s-40-4 | 宅地建物取引業者Aは、自ら貸主として、Bと事業用建物の定期賃貸借契約を締結した。この場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aはその内容を37条書面に記載しなければならず、Bに対して当該書面を交付しなければならない。 | × |
5 | R03-37-4 | 宅地建物取引業者は、自ら売主となる土地付建物の売買契約及び自ら貸主となる土地付建物の賃貸借契約のいずれにおいても、37条書面を作成し、その取引の相手方に交付しなければならない。 | × |
6 | R02s-26-3 | 宅地建物取引業者は、建築工事完了前の賃貸住宅について、借主として貸借の契約を締結してはならない。 | × |
7 | R01-36-イ | 宅地建物取引業者Aが自ら貸主として宅地の定期賃貸借契約を締結した場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、借主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。 | × |
8 | H30-41-1 | A社は、所有する土地を10区画にほぼ均等に区分けしたうえで、それぞれの区画に戸建住宅を建築し、複数の者に貸し付けた。A社は、免許を受ける必要がある。 | × |
9 | H30-41-2 | A社は、所有するビルの一部にコンビニエンスストアや食堂など複数のテナントの出店を募集し、その募集広告を自社のホームページに掲載したほか、多数の事業者に案内を行った結果、出店事業者が決まった。A社は、免許を受ける必要がある。 | × |
10 | H29-35-1 | 宅地建物取引業者は、自ら貸主として締結した建物の賃貸借契約について、法第49条に規定されている業務に関する帳簿に、法及び国土交通省令で定められた事項を記載しなければならない。 | × |
11 | H28-26-4 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら所有している物件について、直接賃借人Bと賃貸借契約を締結するに当たり、法第35条に規定する重要事項の説明を行わなかった。この場合、Aは、甲県知事から業務停止を命じられることがある。 | × |
12 | H27-38-ウ | 宅地建物取引業者Aが自ら貸主として宅地の定期賃貸借契約を締結した場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、借主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。 | × |
13 | H26-26-ア | Aの所有する商業ビルを賃借しているBが、フロアごとに不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、AとBは免許を受ける必要はない。 | ◯ |
14 | H25-31-ア | 宅地建物取引業者は、建物の貸借に関し、自ら貸主として契約を締結した場合に、その相手方に37条書面を交付しなければならない。 | × |
15 | H24-27-2 | Aが自己の所有する宅地を駐車場として整備し、賃貸を業として行う場合、当該賃貸の媒介を、免許を受けているB社に依頼するとしても、Aは免許を受けなければならない。 | × |
16 | H24-27-3 | Aが所有するビルを賃借しているBが、不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、Aは免許を受ける必要はないが、Bは免許を受けなければならない。 | × |
17 | H24-28-ア | 建物の所有者と賃貸借契約を締結し、当該建物を転貸するための広告をする際は、当該広告に自らが契約の当事者となって貸借を成立させる旨を明示しなければ、法第34条に規定する取引態様の明示義務に違反する。 | × |
18 | H23-26-2 | Aが、B社が甲県に所有する1棟のマンション(20戸)を、貸主として不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、Aは甲県知事の免許を受けなければならない。 | × |
19 | H22-26-2 | 他人の所有する複数の建物を借り上げ、その建物を自ら貸主として不特定多数の者に反復継続して転貸する場合は、免許が必要となるが、自ら所有する建物を貸借する場合は、免許を必要としない。 | × |
20 | H19-32-2 | Aが、自己所有の宅地に自ら貸主となる賃貸マンションを建設し、借主の募集及び契約をBに、当該マンションの管理業務をCに委託する場合、Bは免許を受ける必要があるが、AとCは免許を受ける必要はない。 | ◯ |
21 | H17-30-1 | Aの所有するオフィスビルを賃借しているBが、不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、AとBは免許を受ける必要はない。 | ◯ |
22 | H17-40-4 | 貸主である宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者Bの媒介により借主と事業用建物の賃貸借契約を締結するに当たって、Bが作成・交付した契約書面に法第37条違反があった。この場合、Bのみが監督処分及び罰則の対象となる。 | ◯ |
23 | H16-30-2 | Aが、その所有地にマンションを建築したうえで、自ら賃借人を募集して賃貸し、その管理のみをBに委託する場合、A及びBは、免許を必要としない。 | ◯ |
24 | H14-30-4 | Aが、賃貸物件の複数の所有者から一括して借上げ、賃借人に自ら又は宅地建物取引業者に媒介を依頼し賃貸する行為を繰り返し行う場合、Aは免許を必要としない。 | ◯ |
25 | H14-39-2 | 宅地建物取引業者は、自ら貸主となり、借主との間でオフィスビルの一室の賃貸借契約を締結した業務において、賃貸借契約書は当該借主に対して交付したが、重要事項の説明を行わなかった場合、これをもって指示処分を受けることはない。 | ◯ |
26 | H13-30-3 | 地主Aが、その所有地に自らマンションを建設した後、それを入居希望者に賃貸し、そのマンションの管理をAが行う場合、Aは免許を必要としない。 | ◯ |
27 | H11-30-1 | Aが、用途地域内の自己所有の宅地を駐車場として整備し、その賃貸を業として行おうとする場合で、当該賃貸の契約を宅地建物取引業者の媒介により締結するとき、Aは免許を受ける必要はない。 | ◯ |
28 | H09-31-4 | Aが、1棟のマンション(10戸)を競売により取得し、自ら借主を募集し、多数の学生に対して賃貸する場合、Aは、免許を必要とする。 | × |
29 | H08-41-2 | Aの所有する業務用ビルを賃借しているBが、不特定多数の者に反覆継続して転貸する場合、A及びBは、免許を受ける必要はない。 | ◯ |
30 | H07-35-1 | AがB所有の宅地を賃借してマンション(区分所有建物)を建築し、定期借地権付きマンションとして不特定多数の相手方に分譲しようとする場合、Bは宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。 | ◯ |
31 | H07-44-1 | 甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Aが、自己の所有する建物を不特定多数の者に賃貸するため、新たに乙県内に事務所を設けることとなった場合、Aは、国土交通大臣の免許を申請しなければならない。 | × |
32 | H05-35-3 | Aが土地を10区画に区画割して駐車場として賃貸する場合、Aは宅地建物取引業の免許を要しないが、Bが駐車場ビル10棟を建設し、Cが媒介して1棟ずつ売却する場合、B及びCは宅地建物取引業の免許を要する。 | ◯ |
33 | H04-35-1 | Aがその所有地にマンションを建築して、一括してBに売却し、Bが新聞広告により各戸の入居者を募集して賃貸する場合、A及びBは、ともに宅地建物取引業の免許を必要とする。 | × |
34 | H01-35-4 | 地主Aが、その所有地にオフィスビル10棟を建築して、自ら新聞広告で入居者を募集したうえ、それぞれ入居希望者に賃貸し、そのビルの管理をBに委託する場合、A及びBは、ともに宅地建物取引業の免許を必要としない。 | ◯ |
2 誤り
Cは、土地の売買を反復継続してあっせんするというのだから、宅地建物取引業に該当し、免許を受ける必要がある(宅建業法2条2号)。
※建設業者であっても、建設請負工事に付随するものであっても、結論は異ならない。
■参照項目&類似過去問
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建設業者(宅建業法[01]5(3)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-38-ウ | 建設業者が、建築請負工事の受注を目的として、業として宅地の売買の媒介を行う行為は、宅地建物取引業に該当しない。 | × |
2 | H30-41-4 | A社は、多数の顧客から、顧客が所有している土地に住宅や商業用ビルなどの建物を建設することを請け負って、その対価を得ている。A社は、免許を受ける必要がある。 | × |
3 | H19-32-4 | 不特定多数の者に対し、建設業者Aが、建物の建設工事を請け負うことを前提に、当該建物の敷地に供せられる土地の売買を反復継続してあっせんする場合、Aは免許を受ける必要はない。 | × |
4 | H17-30-2 | 建設業の許可を受けているAが、建築請負契約に付随して、不特定多数の者に建物の敷地の売買を反復継続してあっせんする場合、Aは免許を受ける必要はない。 | × |
5 | H15-30-1 | 建設会社Aが、所有宅地を10区画に分割し、宅地建物取引業者Bの代理により、不特定多数に継続して販売する場合、Aは免許を受ける必要はない。 | × |
6 | H13-30-1 | 建設業法による建設業の許可を受けているAが、建築請負契約に付帯して取り決めた約束を履行するため、建築した共同住宅の売買のあっせんを反復継続して行う場合、Aは免許を必要としない。 | × |
7 | H01-35-1 | 建設業の許可を受けているAが、建築請負契約に付帯して、土地のあっせんを反覆継続して行う場合、Aは、宅地建物取引業の免許を必要としない。 | × |
3 誤り
リゾートクラブ会員権の売買という形式をとったとしても、実質的には建物所有権の売買である。
これを不特定多数の者に反復継続して行うのだから、宅地建物取引業に該当する(宅建業法2条2号)。
したがって、Dは、宅建業の免許を受ける必要がある。
■参照項目&類似過去問
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「建物」とは(宅建業法[01]2)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-34-2 | 建物の一部の売買の代理を業として行う行為は、宅地建物取引業に当たらない。 | × |
2 | R03s-34-3 | 建物とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するものをいうが、学校、病院、官公庁施設等の公共的な施設は建物には当たらない。 | × |
3 | R01-26-2 | 宅地建物取引業とは、宅地又は建物の売買等をする行為で業として行うものをいうが、建物の一部の売買の代理を業として行う行為は、宅地建物取引業に当たらない。 | × |
4 | H17-30-3 | Aが共有会員制のリゾートクラブ会員権(宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの)の売買の媒介を不特定多数の者に反復継続して行う場合、Aは免許を受ける必要はない。 | × |
5 | H08-41-4 | Aが共有会員制のリゾートクラブ会員権(宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの)の売買の媒介を不特定多数の者に反覆継続して行う場合、Aは、免許を受ける必要はない。 | × |
4 誤り
個人業者の免許の効力はEが死亡した時点で失われ、相続人Fが相続することはできない。
したがって、Eの所有していた土地を区画割りし、不特定多数の者に分譲する場合、Fは宅建業の免許を受ける必要がある(宅建業法2条2号。左図)。
※宅建業者Eが分譲の契約を締結した後に死亡した場合は、全く話が別である。この場合、相続人Fが何ら宅建業を行うことができないとするのでは、顧客に迷惑がかかってしまう。そこで、宅建業法は、相続人が、宅建業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において、宅建業者とみなされるとしている(同法76条。右図)。
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■参照項目&類似過去問
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免許の承継?(宅建業法[04]2(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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個人業者に関するケース | |||
1 | H29-44-2 | 個人である宅地建物取引業者Aがその事業を法人化するため、新たに株式会社Bを設立しその代表取締役に就任する場合、B社はAの免許を承継することができる。 | × |
2 | H22-28-1 | 免許を受けている個人Aが死亡した場合、相続人にAの免許は承継されないが、相続人は、Aが生前に締結した契約に基づく取引を結了するための業務を行うことができるので、当該業務が終了した後に廃業届を提出すればよい。 | × |
3 | H17-30-4 | 宅地建物取引業者であるA(個人)が死亡し、その相続人BがAの所有していた土地を20区画に区画割りし、不特定多数の者に宅地として分譲する場合、Bは免許を受ける必要はない。 | × |
4 | H03-37-2 | 宅地建物取引業者である個人Aが宅地建物取引業を営む目的で株式会社Bを設立し、Aがその代表取締役となって業務を行う場合、株式会社Bは、宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。 | × |
5 | H03-37-3 | 宅地建物取引業者である個人Aが死亡し、その相続人BがAの所有していた土地を20区画に区分し、宅地として分譲する場合、相続人Bは、宅地建物取引業の免許を受けなければならない。 | ◯ |
法人業者が合併により消滅したケース | |||
1 | R02-26-1 | 宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)が宅地建物取引業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、A社が消滅した日から30日以内にA社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A社が受けていた免許を承継することができる。 | × |
2 | H29-44-1 | 宅地建物取引業者A社が免許を受けていないB社との合併により消滅する場合、存続会社であるB社はA社の免許を承継することができる。 | × |
3 | H22-28-2 | 免許を受けている法人Aが免許を受けていない法人Bとの合併により消滅した場合、Bは、Aが消滅した日から30日以内に、Aを合併した旨の届出を行えば、Aが受けていた免許を承継することができる。 | × |