■講義編■借地借家法[02]借地権の効力

借地権の対抗要件としては、借地権自体を登記する方法に加えて、借地上の建物を登記する方法が認められています。
建物が滅失した場合でも、法定事項を土地上の見やすい場所に掲示しておけば、2年間は対抗力を維持できます。
借地契約が期間満了で終了する場合、借地権者は、借地権設定者に対して建物の買取りを要求することができます(建物買取請求権)。

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1.借地権の対抗要件(⇒民法[26]3

(1).対抗要件
①対抗要件とは

借地権の対象となっている土地を借地権設定者が売却した場合、この土地を利用できるのは誰か?

借地権者と買主との間は対抗問題。先に対抗要件を備えたほうが勝つ

■対抗問題・対抗要件⇒民法[07]

②対抗要件

(2).借地上の建物の登記
①登記の種類

◯権利に関する登記(所有権の保存の登記)
◯表示に関する登記(表題登記、表示の登記)

②登記の名義

借地権者
×借地権者の配偶者・子

③登記の正確性

建物の所在地番や種類・構造・床面積が真実と相違した場合
→建物の同一性が確認できる程度の軽微な相違であれば、対抗◯

④対抗力の範囲
(a).二筆の土地のうち、一方のみに登記した建物が存在する場合

建物の敷地の表示として記載されている土地のみに対抗力◯

(b).一筆の土地の上に、複数の建物が存在する場合

一棟について登記があれば、土地全体に対抗力◯
★過去の出題例★

借地権の対抗要件(借地借家法[02]1(1)(2))
年-問-肢内容正誤
1R03s-06-2
土地の賃借人として当該土地上に登記ある建物を所有する者は、当該土地の所有権を新たに取得した者と対抗関係にある第三者に該当する。

2R03s-11-3
借地権者が借地上の建物にのみ登記をしている場合、当該借地権を第三者に対抗することができるのは、当該建物の敷地の表示として記載されている土地のみである。

3R02s-11-1
借地権者が借地権の登記をしておらず、当該土地上に所有権の登記がされている建物を所有しているときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができるが、建物の表示の登記によっては対抗することができない。×
4R02s-11-3土地の賃借人が登記ある建物を所有している場合であっても、その賃借人から当該土地建物を賃借した転借人が対抗力を備えていなければ、当該転借人は転借権を第三者に対抗することができない。×
5R02s-11-4借地権者が所有する数棟の建物が一筆の土地上にある場合は、そのうちの一棟について登記があれば、借地権の対抗力が当該土地全部に及ぶ。
6R02-11-1
A所有の甲土地につき、Bとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約が締結された。Bは、借地権の登記をしていなくても、甲土地の引渡しを受けていれば、本件契約締結後に甲土地を購入したCに対して借地権を主張することができる。×
7H30-11-4
[AとBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で賃貸借契約を締結する。]Bは、甲土地につき借地権登記を備えなくても、Bと同姓でかつ同居している未成年の長男名義で保存登記をした建物を甲土地上に所有していれば、甲土地の所有者が替わっても、甲土地の新所有者に対し借地権を対抗することができる。×
8H29-11-1
(A所有の甲土地につき、平成29年10月1日にBとの間で賃貸借契約(本件契約)が締結された。)Aが甲土地につき、本件契約とは別に、平成29年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。
×
9H28-11-1
[Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。

10H28-11-2
[Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]Aが甲建物を所有していても、登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものでなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。
×
11H26-07-2借地権者が借地上の建物につき自己名義で保存登記をしている場合、借地の不法占拠者に対し、賃借権に基づいて妨害排除を求めることができる。
12H26-11-2借地上の建物の登記があれば、土地が第三者に売却されても、借地権を対抗可。
13H25-12-3二筆ある土地の借地権者が、一筆の土地上に登記ある建物を所有し、他方の土地は庭として使用している場合、後者の土地には対抗力が及ばない。
14H24-11-1建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地権の登記がなくても、その土地上の建物に借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば、借地権を第三者に対抗することができる。
15H24-11-3土地の転借人は、転貸人たる賃借人が対抗力ある建物を所有していれば、賃借権を対抗可。
16H20-13-4口頭の借地契約でも、借地上の建物の登記があれば、借地権を対抗可。
17H18-13-4公正証書で借地契約をしても、対抗力が認められない場合がある。
18H15-13-1借地上の建物の保存登記があれば、借地権を対抗可。
19H11-13-1自己名義の保存登記があっても、居住していなければ対抗不可。×
20H11-13-2配偶者名義の保存登記があっても、対抗不可。
21H11-13-3一筆の土地上にある2棟の建物のうち1棟について自己名義の保存登記があれば、全体について借地権を対抗可。
22H11-13-4所在地番が多少相違しても同一性が認識できれば対抗可。
23H08-13-1長男名義の保存登記があれば、対抗可。×
24H08-13-2自己名義の保存登記があれば、強制競売の競落者にも対抗可。
25H08-13-4定期借地権の場合、公正証書で契約締結していれば、建物の登記がなくても対抗可。×
(3).建物滅失時の対抗要件
①原則

借地上の建物の登記による対抗力
→建物が滅失すれば、消滅

②例外

法定事項を
土地上の見やすい場所に掲示
→2年間は対抗力あり

③対象

登記されていた建物
★過去の出題例★

建物滅失時の対抗要件(借地借家法[02]1(3))

[共通の設定]
Aは、所有する甲土地を建物所有目的のBに賃貸し、Bは、甲土地上に乙建物を建築した。C又は
Dは、甲土地をAから譲渡された。
年-問-肢内容正誤
1R02s-11-2借地権者が登記ある建物を火災で滅失したとしても、建物が滅失した日から2年以内に新たな建物を築造すれば、2年を経過した後においても、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。×
2H24-11-2建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、建物が全焼した場合でも、借地権者は、その土地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば、借地権を第三者に対抗することができる場合がある。
3H15-13-2乙建物が滅失した場合でも、Bが借地借家法に規定する事項を甲土地の上の見やすい場所に掲示したときは、Bは、甲土地に賃借権の登記をしていなくても、滅失のあった日から2年間は、甲土地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたDに対し、甲土地の賃借権を対抗できる。
4H08-13-3乙建物が火事により滅失した場合、建物を新たに築造する旨を本件土地の上の見やすい場所に掲示していれば、Bは、本件建物について登記していなかったときでも、借地権をCに対抗することができる。
×

2.地代等増減請求権

①土地に対する租税その他の公課の増減により
②土地の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動により
③近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となった
とき、当事者は、地代等の増減を請求することができる

(1).協議が調わないとき
①増額について

②減額について

(2).特約
①特約の有効性

②不増額特約が不相当となった場合

地代等増額請求権を行使可能
★過去の出題例★

地代等増減請求権(借地借家法[02]2)
年-問-肢内容正誤
1R05-11-1本件契約に、当初の10年間は地代を減額しない旨の特約を定めた場合、その期間内は、BはAに対して地代の減額請求をすることはできない。×
2R02-11-2A所有の甲土地につき、Bとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約が締結された。本件契約で「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合には、甲土地の借賃が近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときであっても、当該期間中は、AもBも借賃の増減を請求することができない。×
3H29-11-3土地賃貸借契約が建物所有を目的として存続期間60年とし、賃料につき3年ごとに1%ずつ増額する旨を公正証書で定めたものである場合、社会情勢の変化により賃料が不相当となったときであっても、賃貸人も賃借人も期間満了まで賃料の増減額請求をすることができない。×
4H25-12-1ゴルフ場経営を目的とする土地賃貸借契約については、対象となる全ての土地について地代等の増減額請求に関する借地借家法の規定が適用される。×
5H05-11-3 「地代の増減は、借地権設定者・借地権者の協議によって定める」と約定した場合、借地権設定者は、協議を尽くさなければ、地代の増減を請求することはできない。×
6H01-12-4当事者間で借賃の増額について協議が調わない場合、借地権者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める借賃を支払えばよい。

3.建物買取請求権

(1).建物買取請求権とは
①建物買取請求権の仕組み

②同時履行の抗弁権(⇒民法[22]2(2)③

(2).建物買取請求権の発生
①存続期間が満了し更新がない場合

②債務不履行による解除の場合


★過去の出題例★

建物買取請求権(借地借家法[02]3)
年-問-肢内容正誤
1R05-11-3
本件契約に建物買取請求権を排除する旨の特約が定められていない場合、本件契約が終了したときは、その終了事由のいかんにかかわらず、BはAに対してBが甲土地上に所有している建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。×
2R04-11-4
借地上の建物所有者が借地権設定者に建物買取請求権を適法に行使した場合、買取代金の支払があるまでは建物の引渡しを拒み得るとともに、これに基づく敷地の占有についても、賃料相当額を支払う必要はない。×
3R02-11-3
A所有の甲土地につき、Bとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約が締結された。本件契約で「Bの債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、BはAに対して建物買取請求権を行使することができない」旨を定めても、この合意は無効となる。×
4H28-11-4
[Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがないときは、Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。
×
5H24-11-4一時使用目的の借地権にも、建物買取請求権の規定が適用される。×
6H14-13-1事業用定期借地権を設定した場合、借主は建物買取請求権を有しない。
7H14-13-2借主の債務不履行を原因とする契約終了の場合にも、建物買取請求できる。×
8H14-13-3賃貸借契約・転貸借契約がともに期間満了し更新がなければ、転借人は賃貸人に対し直接建物買取請求権を有する。
9H14-13-4借主が適法に貸主に建物買取請求権を行使すると、その所有権は直ちに借主から貸主に移転するが、借主は貸主が代金を支払うまで、建物の引渡しを拒むことができる。
10H10-11-4建物が存続期間満了前に貸主の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるとき、建物買取請求権を行使できない。×
11H03-12-3借地権者は、借地権が消滅した場合において、家屋があるときは、自らが債務不履行のときでも土地所有者に対し家屋の買取りを請求することができる。×

[Step.2]一問一答式実戦応用編講座

実戦応用編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。

解説動画を視聴する方法受講料
1eラーニング講座[Step.2]実戦応用編を受講1,980円~
2YouTubeメンバーシップ(「スリー・ステップ オールインワン」レベル)に登録3,590円/月
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