【宅建過去問】(平成30年問29)業務の規制・8つの規制


Aは、Bとの間で、Aが所有する建物を代金2,000万円で売却する売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。

  1. A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、Aは、本件契約の成立後、法第37条の規定により交付すべき書面を作成し、記名押印は宅地建物取引士ではない者が行い、これをBに交付した。
  2. A及びBがともに宅地建物取引業者である場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除があったときの損害賠償の額を600万円とする特約を定めた。
  3. Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、Aは、本件契約の締結に際して、500万円の手付を受領した。
  4. Aは宅地建物取引業者であるが、Bは宅地建物取引業者ではない場合において、本件契約の目的物である建物の瑕疵を担保すべき責任に関し、契約の解除又は損害賠償の請求は目的物の引渡しの日から1年以内にしなければならないものとする旨の特約を定めた。

正解:2

設定の確認

通常の問題であれば、「宅地建物取引業者A」と明示されているのですが、本問では、AもBも宅建業者かどうか分かりません。各選択肢を検討する際に、一つ一つ確認する必要があります。

1 違反する

AもBも宅建業者という業者間取引について問われています。
37条書面(契約書面)の作成・交付に関する規制は、業者間取引においても、それ以外の取引と同様に適用されます(宅建業法37条1項)。したがって、Aには、37条書面を作成・交付する義務があります。また、その書面には、宅建士に記名押印させなければなりません。
本肢は、「記名押印は宅地建物取引士ではない者が行い」とする点が誤りです。
☆「37条書面(交付先が宅建業者である場合)」というテーマは、問27肢4と問28肢イでも出題されています。

★必要知識(講義編)

37条書面の交付相手(自ら売主・買主となるケース)(宅建業法[12]1(2)②)
37条書面(記名・押印者)(宅建業法[12]1(3)③)
37条書面(交付先が宅建業者である場合)(宅建業法[12]1(4))

■類似過去問
内容を見る
宅建業法[12]1(2)②
37条書面の交付相手(自ら売主・買主となるケース)
 年-問-肢内容正誤
129-40-4宅地建物取引業者Hは、宅地建物取引業者ではない売主Iから中古住宅を購入する契約を締結したが、Iが売主であるためIに37条書面を交付しなかった。
×
228-41-2宅建業者は、自ら売主として宅地の売買契約を締結したときは、相手方に対して、遅滞なく、37条書面を交付するとともに、その内容について宅建士をして説明させなければならない。×
328-42-3宅建業者Aは、自ら売主として、宅建業者Dの媒介により、宅建業者Eと宅地の売買契約を締結した。Dが宅建士をして37条書面に記名押印させている場合、Aは宅建士をして当該書面に記名押印させる必要はない。×
427-38-エ宅建業者が自ら買主で、売主が宅建業者であっても、売主に対して37条書面を交付しなければならない。
526-42-ア宅建業者Aが売主として宅建業者Bの媒介により、土地付建物の売買契約を締結した場合、Bが37条書面を作成し、宅建士をして書面に記名押印させれば、Aは、宅建士による37条書面への記名押印を省略することができる。×
624-31-1自ら売主の場合→相手方+相手方の代理人宅建業者に交付:業法に違反しない。
宅建業法[12]1(3)③
37条書面(記名・押印者)

 年-問-肢内容正誤
128-30-4
宅建業者は、宅建士をして37条書面に記名押印させなければならないが、書面の交付は宅建士でない従業者に行わせることができる。
228-42-3
宅建業者Aは、自ら売主として、宅建業者Dの媒介により、宅建業者Eと宅地の売買契約を締結した。Dが宅建士をして37条書面に記名押印させている場合、Aは宅建士をして当該書面に記名押印させる必要はない。
×
326-40-イ37条書面の交付に当たり、宅建士をして、書面に記名押印の上、内容を説明させなければならない。×
426-42-イ媒介により、事業用宅地の定期賃貸借契約を公正証書によって成立させた場合、公正証書とは別に37条書面を作成して交付するに当たって、宅建士をして記名押印させる必要はない。×
525-36-337条書面に宅建士が記名押印し、宅建士でない従業員が交付しても、宅建業法に違反しない。
625-44-ウ35条書面・37条書面の記名押印者は、専任の宅建士でなければならない。×
723-34-437条書面に記名押印する宅建士は、35条書面に記名押印した宅建士と同じである必要はない。
822-37-137条書面に宅建士が記名押印すれば、交付を宅建士でない代表者・従業員が行ってもよい。
922-37-237条書面を公正証書で作成する場合、宅建士の記名押印は不要である。×
1022-37-437条書面に記名押印する宅建士は、35条書面に記名押印した宅建士と同一の者でなければならない。×
1121-35-137条書面には、法人の代表者が記名・押印しなければならない。×
1221-36-1宅建士が37条書面を作成、記名押印したが、買主への交付は宅建士でない従業者が行った場合、宅建業法に違反しない。
1319-40-135条書面・37条書面のいずれの交付に際しても、宅建士の記名押印と内容説明が必要である。×
1418-36-3業者間取引であっても、37条書面に宅建士をして記名押印させなければならない。
1517-39-3宅建士が記名押印した契約書面を交付すれば、説明の必要はない。
1617-40-237条書面には、専任でない宅建士が記名押印してもよい。
1715-37-137条書面に宅建士が署名すれば、押印は省略できる。×
1814-38-135条書面には宅建士が記名押印したが、37条書面には宅建士でない従業者が宅建士名義で記名押印しても、宅建業法に違反しない。×
1914-38-435条書面に記名押印した宅建士と別の宅建士が37条書面に記名押印しても、宅建業法に違反しない。
2010-43-4宅建業者は、宅建士をして37条書面に記名押印させなければならず、違反すると指示処分を受け、罰金に処せられることがある。
2108-38-337条書面に専任でない宅建士をして記名押印させた場合、宅建業法に違反する。×
2205-37-337条書面には宅建士の記名押印が必要で、建物賃貸借の媒介でも省略できない。
宅建業法[12]1(4)
37条書面(交付先が宅建業者である場合)

 年-問-肢内容正誤
128-42-1
宅建業者Aは、宅建業者Bと宅建業者Cの間で締結される宅地の売買契約の媒介においては、37条書面に引渡しの時期を記載しなくてもよい。
×
228-42-3
宅建業者Aは、自ら売主として、宅建業者Dの媒介により、宅建業者Eと宅地の売買契約を締結した。Dが宅建士をして37条書面に記名押印させている場合、Aは宅建士をして当該書面に記名押印させる必要はない。
×
327-38-イ業者間取引であっても、37条書面を交付しなければならない。
427-38-エ宅建業者が自ら買主で、売主が宅建業者であっても、37条書面を交付しなければならない。
526-40-ウ業者間取引であっても、37条書面に宅地の引渡しの時期を記載しなければならない。
625-31-エ業者間取引であれば、37条書面を交付する必要はない。×
725-36-4業者間取引であれば、瑕疵担保責任に関する特約につき37条書面に記載しなくても、宅建業法に違反しない。×
821-36-2業者間取引で、37条書面の交付を省略しても、宅建業法に違反しない。×
919-40-2業者間取引で、売主の承諾がある場合、35条書面・37条書面の交付を省略できる。×
1019-40-3業者間取引で、買主の承諾がある場合、35条書面の交付は省略可能、37条書面の交付は省略不可。×
1118-36-3業者間取引であっても、37条書面に宅建士をして記名押印させなければならない。
1212-31-2業者間取引であれば、37条書面に宅建士をして記名押印させる必要はない。×
1304-42-1業者間取引では、35条書面の交付は省略できるが、37条書面の交付は省略できない。×
1401-44-2業者間取引では、37条書面の記載事項のうち移転登記の申請時期を省略できる。×

2 違反しない

AもBも宅建業者という業者間取引について問われています(肢1と同じ設定)。
損害賠償額の予定等に関する制限は8つの規制の1つであり、業者間取引には適用されません。したがって、売買代金の20%(2,000万×20%=400万円)を超える損害賠償額の予定も許されます。

★必要知識(講義編)

損害賠償額の予定(予定額の上限)(宅建業法[17]2(1))
業者間取引と損害賠償額の予定(宅建業法[17]3)

■類似過去問
内容を見る
宅建業法[17]2(1)
損害賠償額の予定(予定額の上限)
 年-問-肢内容正誤
129-31-ウ
宅地建物取引業者Aは、宅地建物取引業者でないBとの間で、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う違約金について300万円とする特約を定めた場合、加えて、損害賠償の予定額を600万円とする特約を定めることができる。×
228-28-エ
損害賠償の予定額を25%とする特約が可能。
×
327-36-ア損害賠償20%+違約金10%とする特約は、全体として無効。×
425-38-イ損害賠償の予定額と違約金の合計額を20%とする特約は有効。
524-38-イ損害賠償10%+違約金20%の特約をした場合、違約金については全て無効。×
623-37-3損害賠償+違約金で10%の特約が可能。
722-39-2損害賠償20%+違約金10%の特約が可能。×
822-40-2損害賠償15%+違約金15%の特約が可能。×
921-37-1手付金5%+損害賠償15%の特約は不可。×
1020-40-2売主の違約金30%の特約が可能。×
1118-39-2損害賠償+違約金が20%を超える特約は不可。
1217-43-2損害賠償40%とする特約が可能。×
1315-38-4損害賠償+違約金で33%の特約は違法。
1412-40-4代金の20%の手付金を違約手付とする特約を定めた場合、別途損害賠償の予定を定めることができる。×
1510-36-2損害賠償を20%と予定した場合、違約金を定めることはできない。
1608-46-3損害賠償を10%と予定しても、実際の損害が大きければ20%まで請求できる。×
1707-43-2損害賠償の予定額20%、別に違約金10%という特約をすることはできない。
1807-45-4損害賠償の予定額として、手付の5%に加え、20%を支払うという特約は有効である。×
1905-43-2違約金20%とする特約が可能。
2004-44-4違約金と損害賠償額の予定を合わせて20%超でも、宅建業法に違反しない。×
宅建業法[17]3
業者間取引と損害賠償額の予定
 年-問-肢内容正誤
127-39-3業者間取引で30%の損害賠償予定が可能。
224-38-ア業者間取引で20%超の損害賠償予定は不可。×
323-39-1業者間取引で20%超の違約金を特約することが可能。
417-43-1業者間取引で20%超の損害賠償特約は無効。×
517-43-3業者間取引で損害賠償額の予定がない場合、実損額の請求が可能。
616-40-2損害賠償の予定等の制限が業者間取引に適用される。×
708-48-3宅建業者を買主とする売買契約や業者間取引でも、20%超の損害賠償予定は無効である。×
802-40-3業者間取引で、特約がない場合、75%の損害賠償金を受領すると、宅建業法に違反する。×

3 違反する

Aは宅建業者ですが、Bは宅建業者ではありません。
手付の額の制限など8つの規制が適用される場面です。したがって、売買代金の20%(2,000万×20%=400万円)を超える手付金を受領することはできません。

★必要知識(講義編)

手付の額の制限(宅建業法[18]2(1)(2))

■類似過去問
内容を見る
宅建業法[18]2(1)(2)
手付の額の制限

 年-問-肢内容正誤
127-36-イ原則として20%を超える手付金を受領できないが、あらかじめ買主の承諾を得た場合に限り、30%まで受領できる。×
226-33-2保全措置を講じた上で、代金の20%の手付金を受領しても宅建業法に違反しない。
326-33-3 [宅地建物取引業者Aが、自ら売主として買主との間で建築工事完了前の建物を5,000万円で売買する契約をした場合]Aは、宅地建物取引業者でないDと契約を締結し、保全措置を講じることなくDから手付金100万円を受領した後、500万円の保全措置を講じた上で中間金500万円を受領した。×
421-37-15%の手付を受領する予定がある場合、損害賠償額の予定額の限度は15%。×
521-39-3未完成物件の場合、保全措置を講じた上で、代金の10%の手付を受領可能。
621-39-4保全措置を講じれば、代金の40%の手付を受領可能。×
721-40-3買主の承諾があれば、代金の30%の手付金を受領可能。×
816-45-3保全措置を講じれば、代金の30%の手付を受領可能。×
915-38-2保全措置を講じた上で、代金の20%の手付金を受領しても宅建業法に違反しない。
1014-40-1買主の承諾があれば、代金の20%を超える手付金を受領可能。×
1113-42-1手付金が代金の2割を超える場合、保全措置が必要。×
1209-44-3保全措置を講じれば、代金の20%を超える手付金を受領可能。×
1308-46-1手付として代金の3割を受領した場合、買主が手付放棄して解除したときでも、売主は手付を一切返還する必要がない。×
1407-43-4「保全措置を講ずるので、手付金は代金の30%」という特約があれば、その手付金を受領可能。×
1507-47-4保全措置を講じれば、代金の20%の手付金を受領可能。
1604-41-4保全措置を講じれば、代金の20%を超える手付金を受領可能。×
1702-40-4保全措置を講じれば、代金の25%の手付金を受領可能。×

4 違反する

Aは宅建業者ですが、Bは宅建業者ではありません(肢3と同じ設定)。
瑕疵担保責任についての特約の制限など8つの規制が適用される場面です。瑕疵担保責任に関する特約について、Aは、民法と比べて買主に不利となる特約を締結することができません。例外は、責任を負う期間を引渡しから2年以上とするものに限られます。
それにも関わらず、Aは、責任を負う期間を「引渡しの日から1年以内」と定めています。これは、買主に不利な特約であるため、許されません。

★必要知識(講義編)

瑕疵担保責任を負う期間(宅建業法[16]2(1))

■類似過去問
内容を見る
宅建業法[16]2(1)②
瑕疵担保責任を負う期間

 年-問-肢内容正誤
129-27-ア売買契約において、瑕疵担保責任を負う期間を引渡しの日から2年間とする特約を定めた場合、その特約は無効となる。×
229-27-イ売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による瑕疵についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。
327-34-2「引渡しから1年」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。×
427-39-4引渡しを売買契約締結の1月後とし、瑕疵担保責任を負う期間を契約日から2年間とする特約を定めることができる。×
526-31-ア「引渡しから3年」とする特約は無効。×
624-39-3「引渡しから2年」という特約は有効。
723-37-4「瑕疵発見から2年」という特約は有効。
822-40-1「引渡しから3年」という特約は有効。
921-40-4「引渡しから2年」という特約は有効。
1020-40-4「引渡しから2年かつ瑕疵発見から30日」という特約は有効。×
1117-42-3「契約締結から2年」という特約は有効。×
1215-41-4「引渡しから1年」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。×
1314-41-1「引渡しから半年」という特約は有効。×
1412-40-1「引渡しから1年」という特約は無効で、「瑕疵発見から1年」となる。
1511-33-3「引渡しから2年、買主の知っている瑕疵は担保しない」という特約は有効。
1610-36-4損害賠償額を予定した場合、「瑕疵担保期間は引渡しから1年」という特約は有効。×
1709-41-1「引渡しから2年の期間内、契約を解除できないが、損害賠償を請求できる」旨の特約は無効。
1809-41-3「契約締結から2年、その期間内に瑕疵修補請求権も行使できる」という特約は有効。×
1909-41-4「引渡しから1年」という特約は無効で、「引渡しから2年」となる。×
2008-48-2「引渡しから1年」という特約は業者間では有効だが、業者以外を売主・業者を買主とする売買契約では無効。×
2107-43-1「引渡しから2年」という特約をしたときでも、瑕疵発見から1年は瑕疵担保責任を負う。×
2207-45-1「瑕疵発見から1年半」という特約は有効。
2306-43-1「瑕疵の事実を知ってから1年」と定めても、「引渡しから2年」は責任を負う。×

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